相打ち！ご都合血鬼術 ページ14
A：「誰の……せいで……こんな体に……私は!」
そう言いかけてハッとする。旬祢が泣いていたから
その横顔はとても綺麗で、つい見とれてしまう。私と同じ目をした血を分けた兄。もし私が稀血じゃなかったら？あの村で生まれなかったら？魔女の言い伝えがなかったら？私は普通の妹として生きられたのかな？
でも、だからこそ今までの仕打ちが胸に刺さる
旬祢：「お前は……綺麗だよ………俺はただ、自分の性癖に抗えず、多くの過ちを犯した。だからこうなるのも当然だ。ただ、俺は人間じゃない………もうあの方の従順な鬼だ。すまない。A」
優しく名前を呼ばれ泣きそうになる。でも、何か様子がおかしかった。優しい色がどんどん黒くなっていく
旬祢：「だからせめて……最後まで、悪者でいたいんだ！」
A：「っ！」(しまった！相打ちだ！)
私の体はどんどん縮んだ
このまま消えることは私にも分かった
でも、痛くはなかった
黒い色に白い光が霞んで見えた
旬祢が私に、痛みを感じないように配慮して殺そうとしていることが分かる。私は複雑な気持ちと、どうすることも出来ない血鬼術にただ呆然としていた
目が覚めると太陽の光が差し込み、旬祢は消滅した。そのおかげで私は消えずに済んだが、体はまるで一寸法師だ。
他二体の鬼の気配も消えたので、きっと倒してくれたんだろう
あの透明な世界……痣……それらの不思議な体験によって一気に疲れが出る。自分の服をちぎって体に巻き付け、木の枝に座り助けを待った。
しばらくすると、甘露寺さんの声と玄弥君の声が聞こえてきた
「Aちゃーん！どこにいるのー？」
「Aさーん！Aさーん！」
私もせいいっぱい叫んだり、跳び跳ねたりする
しかし、なかなか気付いてもらえず、自分から甘露寺さんの頭に飛び乗った
玄弥：「あの、なんかあたまに虫ついてますよ」
(やだ！違うもん！虫じゃないし!)
甘露寺：「えぇっ!?やだやだ！とってとって！」
(甘露寺さーん！私だよ！私だってば！やだ！潰される！私の人生終わった………)
玄弥：「………って、Aさん？」
私は玄弥君の手のひらに飛び乗る
甘露寺：「えっ？やだ可愛い！で、でもどうして泣いてるの？」
(こ、ここ怖かった！玄弥君に潰される所だった！しゃべれるけど声が小さくて聞こえないよね？さっきから叫んでるのに…………)
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作者名：クテシフォンらるるん | 作成日時：2020年4月3日 21時
