千秋さん！私、アイドル嫌いなんで！ (ページ10)

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守沢千秋side

流星隊の練習が一息ついて、教室に忘れたタオルを取りに来ると電気がついていて、端っこに座ってメロンパンを食べるAがいた

ドアを開けるとAと目が合った。その瞬間、血の気が引いた。

今日1日顔を抑えていたのはそういう事かと納得すると同時に、昨日の首の怪我も目の痣も暴力されたものだと分かった

Aは隠そうとしていたが、その肩は震えていた

｢気付いてやれなくてすまない。もう大丈夫だ。｣

安心させたくて、そんな言葉が口から出ていた。
目の前のAは泣いていた。

いつもは"孤高の一匹狼"なのに、初めて見せてくれた弱い部分に胸が苦しくなる

そっと背中をさする。ウザイ！とかセクハラ！とか言われるかもしれない。そう思ったけど、Aは何も言わず、ただ泣いていた。

どうしてこんなことになったのか尋ねると、

複雑な家庭事情や生い立ちを知った。

思ったより重くて暗い話に戸惑っているが、Aのことを考えると胸が痛い

日常的な暴力がどれだけ怖かったろう。どれだけ寂しかったろう。どれだけ苦しかったろう。

｢よく頑張ったな｣

今はただ、Aが今まで我慢して頑張ってきたことを褒めてあげることしか出来ない

再び泣き出すAの背中をさすりながら、さてこれからどうしたものかと思案する

このまま家に返したら間違いなくDVされる。
だからといって人気トップアイドルを警察に通報しても、その事実は揉み消されてしまうだろう。

『私、迷惑かけちゃいましたね………馬鹿みたい。ごめんね千秋さん。私、帰ります！』

｢は？え？いやいや、帰らせる訳にはいかんだろう！ヒーローとして困ってる人を見捨てるなんてやっちゃいけないことだ！｣

『……でも、帰らなきゃ……』

Aの肩は震えていた。この時、どんな手を使っても引き止めていれば、あんなことにならなかったのに……

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月曜日、Aが心配で早く学校に来た。
土日に電話をしようとしたが番号を知らないから連絡出来ない

そうやってソワソワしながらAを待ったが、その日から学校に来ることはなかった