6:秘密 ページ8
守沢千秋side
Aの歌声はとても美しかった。
優しく、儚げな声に、時々ロックな歌い方が特徴的だった
蓮巳がよく、不真面目と言っている通り、Aは授業にほとんどが出席せず、出席しても窓の外を眺めているだけだった。
天祥院も蓮巳も、俺も………みんながAの歌声に酔いしれていた
今日はユニット練習がなく、近所の公園で子供達とヒーローごっこをしていた。
今は、Aがいたので子供達をまかせて、もうひとつの用事を済ませた所だ
急いで公園に戻ると、とびきりの笑顔で子供たちと遊ぶAの姿が見えた。
学校にいる時は話しかけるなオーラを出して、イライラしてることが多いのに、
子供と遊ぶAは、まるで別人のようだった
「A、ありがとうな。助かった」
『千秋さん……用事、終わったんですね?なら私は帰りますね……』
「おっと、待て待て!その傷、なんだ?」
Aの長い髪の隙間から、首に傷があるのが見えた
『っ!なんのことですか?セクハラですよ?私、急いでるんで!!!』
明らかに戸惑うAの手首を握って引き止める
「見過ごせない!その傷はなんの傷だ?俺もよく怪我をするが、その傷は人為的な傷だろ。」
『ち、違っ………』
「何をそんなに怯えている?話してくれ。俺が助けてやる」
『本当に……なんでもないから!』
バッと腕を振り払って、走り去るAの後ろ姿は、今でも忘れられない
翌日
昨日の失礼を謝ろうとAの元に行くと、右手で右目を抑えていた
「おはようA。昨日はすまなかった。乱暴な真似をした」
『別に気にしてない…………』
メロンパンのことがあって、無視はしなくなったものの、やはり暗い。そして、今日はずっと右目を抑えている
ご飯の時も、右目を抑えていて、何も口にしなかった
Aside
最悪だ。昨日は公園にいて帰りが遅くなったせいで父の怒りが倍増した。
急いで顔を庇ったけど、間に合わなくて右目が紫になってしまった。
休もうかと迷ったけど、今日は父が仕事がなくて家にいるので、学校に行く方がマシだと思い、登校した
殴られてるなんて言えない。
秘密にしなきゃ……
今日は金曜日。土日は学校がないから殴られても平気だ。どうせ殴られるなら、遅く帰ろう。今はただ、帰りたくない
だから放課後、学校探検に出かけた
あんなことになるなんて、思いもせずに……
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コフウ - 面白かったです! (2021年3月10日 21時) (レス) id: 16a5bce890 (このIDを非表示/違反報告)
碧生 - 凄い面白かったです!これからも応援してますー (2021年2月23日 17時) (レス) id: 7ffc4172b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クテシフォンらるるん x他1人 | 作成日時:2021年2月23日 8時