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44話 ページ45

多分この体だと明日は学校行けないだろう。


それでも、良かった。
さっき、私を助けてくれたのは目の前のキヨさんという事実が、嬉しかった。


「……でも、わたし」


こんなに大切にしてくれているのに、ひかるくんに言われた言葉が脳みそにこびりついている。


「迷惑かける、ってか」


続きの言葉をキヨさんが拾った。


「はい。だから、」


もう、いつ別れてもいいですからね。


言うはずだった。
すっきりしたから、今なら言えるのだ。

キヨさんは、私のようなめんどくさい女にいちいち構う必要が無い。


私以外の、人と、しあわせに、


「……んぐ、」


「さっき、お前なしじゃだめって、聞こえなかったのかよ」


キヨさんの大きな手が、私の口を塞いでいた。
そして、鋭い目が私を見ていた。


「だめって、言っただろ」


「……Aじゃないと、だめなんだって」


涙が含んでいるような、必死に絞り出した声。


「この先、一緒にいたいって初めて思ったのが、Aなんだよ」


そう言って、一呼吸置いたキヨさん。
そきて、小っ恥ずかしいこと言わせんな、とキヨさんは顔を背けた。

そのまま、私の口から何も言わせないとばかりに手に力を入れる。


「……」


「さっきの男だって殺してやりたいって言ったのは半分本気だし」


「お前に会えない日は、めっちゃ寂しい時もあるし」


「………なんで毎日泊まんないんだろうって、ずっと思ってんだよ、こっちは」


本音に、心臓の速さが、一気に加速した。


まさか、そんなことまで思ってただなんて、知らなかった。


「ベタ惚れだって、周りからも少し引かれてる」


「それでも、お前の返信のスタンプ1つで思わずにやけちゃったり、電話できた日は嫌なことあってもその日はいい日になっちゃうし」


「………まじで引くだろ、女々しいだろ」



ぶんぶん、と思わず首を横に振る。
それでも、キヨさんの手は離れない。


「こんなに、誰かと付き合うのが楽しいって思ったことないんだよ」



「なのに、迷惑とか言われてお前がいなくなったら、幸せになんてなれるわけないだろ」



目の前が、涙でぼやけて、見えない。
キヨさんの手につくのもわかっていても、涙が止まらなかった。


「……っ、ああもう、泣くなよ」


ようやく口から手を離してくれたキヨさんは、両手で私の涙を拭う。


「お前から離れようとしてたくせに、何泣いてんだよ」


「ふ、ふぇ……う、っ……ひっ、……」


「もう、二度と言うなよ」

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作品ジャンル:恋愛
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りんご(プロフ) - ちょこれえとさん» すみません、返信遅くなりました。好きになったと言って頂けて嬉しいです。これからも自分のペースで頑張っていきます! (2020年3月6日 13時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれえと(プロフ) - めっちゃ面白いです!キヨのこともっと好きになれました! これからも頑張ってください!! (2020年3月3日 13時) (レス) id: cdd2774812 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - みんさん» ありがとうございます!1番好きと言っていただけて嬉しいです。自分のペースで頑張らせていただきますので、これからもよろしくおねがいします! (2020年1月31日 23時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
みん(プロフ) - はじめまして!いつも拝見させていただいています!たくさんあるキヨのお話の中で一番好きです(^^)vりんご様のペースで頑張ってください。陰ながら応援してます! (2020年1月31日 18時) (レス) id: c336b5de5e (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - なおさん» 初めてのコメントをいただけて嬉しいです!年齢制限の方は別サイトになると思いますが、前向きに考えますね。ありがとうございます。 (2019年12月13日 19時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんご | 作成日時:2019年12月10日 14時

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