6話 ページ6
『夜分遅くになってごめんなさい。今日は本当にありがとうございました』
『お礼の品ですけど、キヨさんは手作りのお菓子に抵抗ある人ですか？』
トークを開いて、勇気をだして送信したのは、素っ気ない文章。
｢……キヨ、さんかあ｣
猫のアイコンを指で軽くなぞる。彼が書いたのか既存のキャラクターか分からないが、不思議な顔をしていた。
すると、すぐに既読がつく。
『さっきも言ったけど、気にしてない』
『手作りはいけます』
と一緒に、猫のスタンプ。
そうか、いけるのか。じゃあせっかくだから食べやすいものを作っていこう。
と、近くにあったお菓子作りの本を手繰り寄せた。
『わかりました。じゃあ何か、お作りして持ってきますね』
『あと、いつ会えますか？』
言い方が、恋人、みたいだ。恥ずかしくなって、別のSNSを開く。
色んな呟きを拾ってみていく。
友達が飲み会の写真とか載せていて、いいねを押して、反応を残した。
すると、
『明後日ならいけます。11時くらいに』
『あと、せっかくだから、どっかご飯、どうすか』
｢…………ええ、｣
思わず携帯を落とすところだった。
………服、どうしようかな。
✱
｢キヨ！遅い！｣
｢………あ、悪い｣
Aを送り届け、キヨが帰ってきたところは最俺ハウス。
彼はコンビニに行くと言って、1時間近く外に出かけていたことに、彼と同じ最俺メンバーであるフジの言葉で気づいた。
｢もー！連絡したのに気づかないってどういうこと｣
｢いや、まじで、すまん｣
｢………なんかあった？｣
いつもおふざけして、遅れてくることも笑ってネタにするというのに、今回は真面目に謝ってくるので、フジは流石に何かあったのかと察した。
｢……人助けしてきた｣
｢え、……？？！人助け！？！｣
｢んなに驚くことかよ。目の前で自転車に轢かれてバッグもスマホも散らばって困ってる人を助けて、家に送ったんだよ｣
｢…………そ、それは、｣
｢つかマリメの実況撮らなきゃだよな。さっさとやろうぜ｣
なんてことないようにキヨは部屋に入り、買ってきたお茶を置いてすぐに準備に入る。
スイッチが切り替わりそうだったので、フジも慌てて隣に座った。
｢すっごく気になるから、あとで色々聞かせてね｣
｢えーーやだ。聞くなら1000万ちょうだい｣
｢なんでいいことなのに金とるんだよ！！｣
(………日曜日、約束しちまったけど、大丈夫、か？)
なんて思いつつ、夜は更けていった。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです！ (2019年11月21日 18時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました！キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね！ (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年11月10日 20時
