34話 ページ34
頭痛と眠気が酷くて、その日はお風呂に入るとすぐに寝てしまった。
そして、その後はずっと朝から晩まで練習室に籠り、ピアノを弾いてコンサートに備える。
そうして、なんとそこから1週間……いや10日近くも経ってしまった。
さらに、今の今までキヨさんに連絡をしていなかったのである。
「………忘れては、いないんだけど」
忙しすぎて、そういう暇がなかっただけである。
決して、お母さんとお父さんにからかわれて、気恥ずかしくなってるわけでは、ない。
『こんばんは、夜遅くにごめんなさい』
『めちゃくちゃ忙しくて連絡出来ませんでした』
『あと凄いことが起こりました』
10時くらいに、トークでメッセージを送る。
そして部屋に置いてあるタブレットを手に取って動画サイトを開いた。
キヨさんの実況がかなり溜まっている。チャンネル登録もしてるので、沢山通知が来ているのは知っていたのだが、彼の動画は30分以上あるので、ゆっくりした時間が取れないと見れない。
最近は本当に忙しくて見る時間をほとんど練習にあてていたのと、色が増えて目の負担が大きいので、スマホを見るのを控えていたのもあるが、彼の動画は結構久々である。
今日の動画はシリーズ物ではないストーリー重視のものだった。
「……ふふ、」
最初にキヨさんが「怖いらしいよ」とぬるっと言った通り、数分でホラゲーの要素がでてきた。
血まみれの女が追いかけてくるらしいゲームだが、その血の色もはっきり私には認識ができた。
1週間経ったが、この色が見える感覚はまだ慣れていない。しかし、見えることがただただ嬉しくて、仕方ない。
オフの彼とは違う、賑やかな実況動画を見ていると、スマホの方から通知音がした。
『おー、久しぶり』
『俺もなんだかんだ忙しかったら気にすんな』
『また自転車に轢かれたとか?』
「失礼だなぁ、もう」
10日経っても変わらない反応に安心した。
動画を見ながら、返信していく。
『まさか、轢かれるわけないじゃないですか』
『すごいですよ。ほんとにすごくて、』
そこまで打って、止まる。指が滑って送信を押してしまったが、その後を打つ気がなかった。
……どうせ、なら。電話で直接伝えてしまいたい、と思ってしまったのだ。
「……暇かなぁ、今」
彼の既読がもうついているので、今はスマホをいじる時間があるのだろう。
『なになに、いきなりとまって』
『まじでなんかあった?』
キヨさんは、心配してくれていた。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時