33話 ページ33
「つ、つかれた………」
家に帰って、玄関で座り込んでしまった。
4コマでがっつりピアノを弾かされ、講義を聞き、いきなり情報量の多い外を歩いて帰ってきたら、このザマである。
頭がすごく痛い。
「あらあら!お父さん、ソファに寝かせるわよ!」
すぐに駆けつけてくれたお母さんに靴を脱がされて、お父さんに運ばれた。
そのまま上にホットタオルを乗せられる。
「どうだ、赤が見えた世界は」
お父さんが聞いてきた。
「世界が変わる。色ってすごいね」
素直な感想に、お母さんがふふって笑った。
この人は、私が見えないことに1番辛い思いをしていた人だ。
なんて思っていると、お母さんは爆弾発言。
「お母さんはねぇ、多分キヨさんにあったからだと思うのよ」
「……はい?」
「だって!Aちゃん、キヨさんに会う時だけとおおおってもいきいきしてて!まるでママがパパとあった時みたいなんですもの!」
……ド天然のお母さんは、テンションが上がると、たまにパパとママ呼びになることがある。なんて、現実逃避したい所であるが、キヨさんの名前が出たことに恥ずかしくて、思わず反論した。
「は?!なんでキヨさん!?」
「いやぁん!かわいい!A今ちょーーー恋してる顔してるわよ!」
「こ、恋……!?何言ってるの!まだ会って1週間も経ってない!!」
現実的に無理だ。なんでそうなった、と母親に頭を抱えたいが、今その頭は痛い。アイマスクをして横になっているのが精一杯である。
「ママはパパと会って1ヶ月で恋仲、3ヶ月で同棲して、6ヶ月で大喧嘩して、1年で結婚したのよ」
「スピード婚だし6ヶ月の大喧嘩って何」
語られたことのない事実に反応してしまうのは娘だからである。許して欲しい。
「ちなみにママはパパに一目惚れして、そこから1週間で友達に持ち込んだから、早くはないんじゃない?」
「いや、まって?私キヨさんとはそんな、」
「今なんて会ってすぐに体の関係持ったり、付き合ったり、お試ししたり、婚活したり、色んな形があるんだから遅いも早いも無いわよぉ」
どんどん色んなことを付け加えるこの人に、誰か突っ込んでほしい。
アイマスク越しにお父さんの方を見る。お父さんのいる方向から、ごほん、と咳払い。
「………少し寂しいが一つだけお願いしてもいいか」
「何が寂しいんですか!?突っ込んで欲しいところ沢山あるのにどうして突っ込まないの?!」
「卒業するまで子どもは作るなよ」
「もうやだこの2人」
76人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「nmmn」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです! (2019年11月21日 18時) (レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました!キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね! (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りんご | 作成日時:2019年11月10日 20時