50話 最終回 ページ50
｢………ほんと、に？｣
ぽろっと出たのが、疑いを含む言葉なのを許して欲しい。
キヨさんは、赤くなった顔のまま、私の頬を抑えたままぎゅ、と少し力を入れた。
｢ここまでやっといて、嘘だったら流石に俺も土に埋まりてえわ｣
｢……きよさん、私に一目惚れしてたの？｣
｢多分な。でも、今それが確信になる方法がある｣
そっと、キヨさんは私の頬をから手を離した。
｢なんですか、その方法は｣
｢……まって、ちゃんと言う｣
キヨさんは深呼吸した。
｢……A、好きだ｣
ゆっくりと、彼は私にそう言った。
私は、彼の目から、視線を外すことが出来ない。
もうひとつ、彼は深呼吸をして、続きの言葉を言うべく口を開く。
｢俺と、お試しでも……いや、お試しじゃだめだ。真剣に、お付き合いを、してもらえませんか｣
彼の声は、真剣で、かつ震えていた。
でも、私から目を離すことをはない。
本気だって、すぐにわかった。
｢わたしも、すきです｣
だから私も、真剣に返すべきだと思った。
立って、握り拳を作っている彼の片手を取った。
そのまま、両手で包み込む。
｢私でよければ、よろしくおねがいします｣
秋も終わりが近づいてきて、寒さのせいか虫の鳴き声が聞こえず、公園が閑散としている。
そのため、私達以外の声は聞こえなかった。
沈黙が訪れた。
｢………あーー、ごめん｣
しかし、数秒後、沈黙を破ったのはキヨさんの声。
私は、キヨさんの手を握りながら彼の方を見た。彼はもう片方の手で自分の顔を隠すように抑えている。
しかし、明かりに照らされた耳は赤く染まっていた。
｢……あのさ、A｣
｢は、い｣
多分私も真っ赤な顔をしているんだろう。でも、どうしたらいいのかわからなくて、動けない。
かろうじて、キヨさんの言葉に返事していくことしか、できない。
キヨさんは、あー……と小さな声で唸ると、私の方を見る。
｢抱きしめても、いい？｣
｢……どうぞ｣
瞬間、私の両手が振りほどかれ、背中に腕が回る。
密着して、彼の大きな体に包まれた。
瞬間、体の力が抜けてしまう。
｢は、……｣
｢一目惚れしてたし、それが間違ってねえって、今はっきりした｣
耳元でキヨさんの低い声。
｢……これから、よろしくな。A｣
｢こちらこそ、よろしくおねがいします。キヨさん｣
抱きしめるキヨさんの体も熱かった。
光が差し込んだのは、私だけではなく、彼もだったらしい。
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りんご(プロフ) - ちぃさん» コメントありがとうございます。かっこいいと言っていただけて嬉しいです。ここ最近リアルなどが忙しいので、更新に波があると思いますが、長い目で見ていただけると幸いです！ (2019年11月21日 18時) (
レス) id: 72494e54b9 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 7話まで一気に読ませていただきました！キヨくんかっこいいです。続きが楽しみです。無理しない程度に頑張ってくださいね！ (2019年11月21日 9時) (レス) id: bc58f84b7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご | 作成日時：2019年11月10日 20時
