緑 ページ8
『今私がヒーロー目指してて、先生がヒーローしてるのってこのヒーロー社会があってからこそだよね。』
「あぁ、ヒーローを認めた社会だからな。」
そう、世界の総人口約八割が個性を持つこの超人社会、個性を使うことを許されたのはヒーロー。しかし、ヒーローもいればもちろん“敵”もいるわけだ。
この社会はヒーローを必要とする社会であり…というのは決して国民全員が思っていることではない。今の社会を否定してヒーローを嫌う人だっている、まさにそれで社会に影響を与えているのが敵である。
じゃあなぜ敵が存在してしまうのか。それはヒーローがいるから。ヒーローによって弱肉強食が軽く生まれたと勘違いし、世界の支配者となろうとする者は最も敵らしい。
『世間は“ヒーローが来るから大丈夫”だなんて無責任に考えて、少しでも被害が大きくなり“救えなかった”となると全てヒーローの責任になる。インターンで何度も目の当たりにしたプロの顔は必死だったね。』
「色想。」
『ん？』
相澤先生は真面目な顔で私に顔を寄せてきた。なになにめっちゃ怖いんだけど、普通のJKならアオハル感じるはずなんだけど、この状況でするシチュじゃないわ。断言できる。
先生はコツンと軽く私の額を叩くとニヤリとため息をついた。なんだろ、この劣等感。子供ってことをバカにされた気分。…変な気持ち。
「ヒーローは無責任に、救うことを“期待されている”。何故かわかるか？それがプロを名乗るに価するからだ。だがヒーローも人間だ。完璧なやつなんてこの世の中誰一人いない。平和の象徴、あの人だって完璧とは言えないだろ？」
『オールマイト…が。』
「まぁ俺にとってはそう思える。お前にとっては“完璧”なのか？」
『んー……。』
『分かんないけど完璧じゃないのは分かる。』
「いやどっちだ。」
『オールマイトが完璧かだなんて知らないけど、完璧な人はいないとはわかるってこと。』
「まぁいい…。でも覚えとけ。ヒーローにも救えなかった、守れなかったものがあると。完璧じゃないから当たり前であり、その当たり前は許されない当たり前になる。しかしそこで後悔してる暇があるなら前向いて動け。次は必ず救う、守ると強くなれ。…キツイ言葉だか悔やむのは後回しにしろ。」
私はヒヤリと崩れている背筋が冷えた、それほど先生の言葉に驚いたから。私は幸せ者だな、相澤先生…いやイレイザーヘッドに1つ教訓を教わったまだ孵化する前のヒーローの卵だから。
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紅葉桜(プロフ) - 過眠さん» ありがとうございます！しっかり伝わってて良かったです笑素敵な作品だなんて嬉しいです笑 (2020年5月10日 8時) (
レス) id: e8ee42e7f8 (このIDを非表示/違反報告)
過眠(プロフ) - 一気に読んじゃいました！！ヒーローの定義、夢主ちゃんの言葉ストンと自分の心に入ってきました。とても素敵な作品です！！！！ (2020年5月10日 4時) (レス) id: 0e313d130c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉桜 | 作成日時：2020年5月2日 14時
