和(ﾜ)の呼吸？いいえ、和(なごみ)の呼吸です。 (ページ11)

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拾ノ物語ページ11

初め、あの鬼から感じた殺気は最後には後悔に変わっていた。

“和の呼吸は、鬼を斬るのではなく鎖を斬ってあげるのです。”

私の師範が仰った言葉だ。

私はこの呼吸を使い始めてから、鬼の頸には鎖が巻かれているように見える。

私はいつもその鎖を斬っている。

そうすると鬼の頸は撥ねているのだ。

しかし、鎖が斬れずに撥ねている時もある。

その時はできるだけ、優しく言葉で取ってあげるのだ。

「師範……ギリギリ間に合いましたよ。
何とか外せました。」

私の刃は痛くない。

それは和の呼吸の使い手のみの特性だ。

他の呼吸では型によって痛みを感じない斬り方をすることもあるが、私のは基本的には痛くない。

それは誰よりも和やかに鬼を斬る者に与えられた栄誉だ。

「痛たた……。ふぅ……。」

ヘマをしたな……私自身も油断していた。

前の気をばかり気にしていた。

止血は(全呼吸で)出来た。

私はそのまま全呼吸で心を落ち着かせ、伊之助の気を探りつつ、ほかの気も探る。

「いた。」

私は伊之助や守、お姉さんと思われる気。

そして鬼2体が固まっている場所……最深部へ走った。

陸ノ型紙飛行機･速
目に止まらない速さの攻撃。
無一郎のあの物凄い飛ぶ紙飛行機のような感じ。

漆ノ型平和の警鐘
警告を鳴らすかのように、鬼を鐘に見立てて思いっきり斬る。
和の呼吸の中で唯一痛みを感じせる技。
この技の斬った断面は凸凹している。