ボールペンの芯のストック切れて勉強する気なくしたので、歌い手活動始めました。

「少しだけ真面目なお話」『作者が言いたいこともそれなりにあるよ』 ページ31

「96さん...ちっちゃいのに...何てパワー...ちっちゃいのに...」

「ちっちゃいのにちっちゃいのにうるさいわ！あくの方がわしよりちっこいから！！」

「厚底の力が大きいと思います...何で厚底履いてるのにあんなに走れるんですか...」

「ライブで鍛えたからな！」

「さすがっす...」

　あああやっぱり96さんと話すのが一番落ち着く...やはり同性というのは大きいのだろう。DMでめっちゃ話していたことも。

　ちなみに。
　96さんのかっるい体重すら受け止めきれなかった私が後ろに倒れかけたら、パッて身引いてグイッて腕引っ張ってくれました。おかげで白いセーター汚さずに済んだ。女の子なのにイケメンすぎやしませんかねぇ。

　96さんにエスコートされて、家にお邪魔する。

「凄い...めっさゲームある......」

「あ、あくはゲーム苦手だったんだっけ？ww」

「配信聞いてたんですか...」

　まったりした会話をしながら、流れで座卓に腰かける。

「あ、あく！今からちょっと説教するよ！」

　タピオカミルクティーという最高レベルのおもてなしを持って来た96さんが、唐突に宣言した。...いやそんな、この空気の中で言われても。
　そもそも説教する相手に自分の好物与えるのは効果あるんだろうか。

　そんなことを言うはずもなく、私は差し出されたマグを受け取って机に置く。
　すると96さんは、私の前に座って真剣な表情で口を開いた。

「んーー、わしもさっき悪かったんだけど、自分の活動名は出されたらあまり反応しない方がいいよ。最近色々怖いし...あくはまだここの世界に慣れてないから、尚更」

　...思いの外、真剣なお話だった。

「あくは賢いし優しい、わしらの邪魔しないように、炎上しないようにって自撮りも上げてない」

「いや、それは私がそこまでする自身がないだけで」

「本当に考えていない人は、とりあえず皆が上げてるからって上げるもんなんよ」

「.........」
　
　そうなのだろうか。

「そらまふと配信する前にキャスしたのも、リスナーさんが荒れないようにって言う配慮だし。声で勝負してる訳じゃないから、そこで叩かれることはないし」

「！」

　...それは、その通りだった。
　バレないと、思っていたんだけど。

「そこまで計算して、わしらに迷惑かからんように考えて、だからあくの活動がここまで上手く行ってる。...だけど、よく思ってない人がいないはずはないから」

　苦いものを吐くように、96さんはそう言った。

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