ボールペンの芯のストック切れて勉強する気なくしたので、歌い手活動始めました。

「空気は読みたい人なんで」『律儀だよねそーゆーとこ』 ページ4

温かい説教から雑談に話題が移行した辺りで、浦田さんが玄関を開けて入ってきた。やはり仕事の話だったらしく、右手にスケジュール帳を持っている。

「お疲れ様ですー」

　そう声をかけて、手当てしてもらいましたよ、と足首をヒョコヒョコ動かすと坂田さんが「ちょ、急に動かさんといて！」と悲鳴を上げた。ゴメンね坂田さん。

「あぁ、ありがと」

　仕事用の真剣な顔から目尻がふと緩み、穏やかに礼を言われる。そのまま視線がつうと横に滑り、＿＿＿坂田さんへと移った。

　あ。

　機密の話をする気配が、肌を刺す。

　...お仕事かな？情報漏洩最近酷いし。

　痛みが大分取れた足を動かし、体重をもう片方の足にかけながら立ち上がった。

「少しお茶入れますねー」

　そう言ってキッチンに向かう。浦田さんは外で電話していたのだから寒いだろう、という建前を作り、湯を沸かし始める。

　すぐにシュンシュンと音を立てる薬缶に紛れて、二人が仕事の話をする声が聞こえた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「お茶入りましたよー」

　囁き声が止んだのを見計らって、マグカップを運ぶ。

「おー！ありがとーな！」

　もう話は済んだのだろう、二人とも気楽な笑顔を見せてくれた。それぞれマグに手を伸ばし、温かいと呟いて顔を綻ばせた。やだ可愛い何のご褒美ですか。

「そういえば、Aは新曲上げないのか？」

「ちょ、うらさん！気が早いわ！ww」

　うん、確かに、気が早い。坂田さんの適切な突っ込みに、思わず苦笑いを浮かべる。

「うーん、私も書きたい曲はいくつかあるんですけど、この前の曲で穴空けたバイトを取り戻せていなくて...」

「あそっか、バイトやってるんだっけか」

「それで大学も行ってるんやろ？忙しくない？」

「いや、働かないと食べてけないですし」

　私の一言で、それはそうかと納得する。

「えー、でもAちゃんだったらボカロＰ専業でも行けるんちゃう？まだ二曲しか出してないのにすっごい有名やで？」

「あ、それな。普通にアーティストとして活躍できると思う」

「あ、え、いや、そんなことない...」

　二人から唐突に認められて、顔が火照る。
　否定の言葉も、尻すぼみとなって宙に落ちた。

「...顔真っ赤だぞ？ww」

「ホントだ。わっかりやすいなぁww」

「ちょ、言わないで...///」

「「wwwwww」」

　ていうか本人の前で平然と言えるそっちがおかしいと思うんだよ私は！！

「「仲良くなれて良かった(*´ω｀*)」」『えっ可愛いかよ』→←『メタ多めですん』「誰の！せいだと！思って！！」『さーせん』

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す