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31話 ページ33

風呂から上がって水でも飲もうと食堂に行くと、明かりがついていた。


…誰だ?
というか、いったい何をしてるんだ?


そんな疑問を抱きながら俺は食堂の扉へ手をやる。
ガチャという音とともに、中から「誰…?」という声が。



風丸「……A?」

A「!! い、一郎太!?」



食堂にいたのはAだった。
パソコンやらメモ帳などを机いっぱいに広げている。


それを見て俺は分かってしまった。


Aが、この前の爆破した犯人を本気で捕まえようとしているということに。



風丸「………A、やっぱりお前……」

A「……ごめん……迷惑だって……分かってる。
危険なことだっていうのも承知の上。

でも………」



俺の視線に耐えきれなかったのか、Aは俯く。

そんなAを見ながら俺は配膳台の上にあるコップを取り、水道の水を入れ、Aの隣の席に着いた。



風丸「……小学生の頃、ひったくりにあってたおばさんを助けたことがあったよな」

A「え……?」

風丸「あの時……俺や円堂は「警察に言おう」って言ってたけど、お前は真っ先に犯人追いかけて行った。その犯人がどんな脅迫な奴かもわからないのに……もしかしたら……殺されたり、さらわれたりするかもしれないのにな」

A「………」



昔の話をすると、Aは顔を上げてくれた。


……覚えてるんだな。
なんて感心しながらも、俺は話を続ける。



風丸「走って行く後ろ姿を俺はただ見てることしかできなかった。
今回も……お前から電話を受けるまで気づかなかった。
……AはAなりに頑張ってたのに、俺は責めることしかできなかったんだ」



……本当は怖かった。

あのスタジアムで、Aから電話をもらった時。


もう一生会えないんじゃないか。
これが最後になるんじゃないか……。



風丸「でも………お前はちゃんと、戻ってきてくれた。
多少のかすり傷は負っていたけど、最後は笑って戻ってきてくれた」

A「!」

風丸「……もう、俺は止めない。
Aがしっかり犯人を捕まえて、また笑って戻ってくることを祈ってるよ」

A「……一郎太……!」

風丸「ただし!無茶はするなよ。
俺達にできることがあったら必ず言う事!わかったか?」

A「……うん!」




Aの笑顔を見て、俺は安心した。




……きっとAなら……犯人を優しく包み込んでくれる。






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モンド(プロフ) - 続編がんばってください!wktk (2015年4月29日 19時) (レス) id: 7fcbc0036e (このIDを非表示/違反報告)
メ〜メ〜 - 風丸と夢主ちゃんのイチャイチャシーン見たいです (2015年4月29日 18時) (レス) id: 84e41f2bd9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみん - すごくみんな優しいて、かこよくて、さいこうです(≧∇≦)彼女ちゃんも仲間ために、すごくいい、事件は毛利さん、解決するのか、次回楽しみに (2015年4月29日 16時) (レス) id: 3ae03fb5a5 (このIDを非表示/違反報告)
空中浮遊 - あ、あれ?冬花ちゃんの存在は・・・・・・← (2015年4月25日 22時) (レス) id: e8df5f8652 (このIDを非表示/違反報告)
メ〜メ〜 - めっちゃ面白いです (2015年4月25日 19時) (レス) id: 84e41f2bd9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:☆りんご☆ | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/kakusokana/  
作成日時:2014年5月2日 23時

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