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そういって、私は笑った、心から、幸せそうに
『私は全部を受け入れるよ』
両手を広げて持っていたナイフを落とす
カラン、と音がした
ジンが再び銃を構える、そして引き金を引いた。私はそれをよけなかった
肩と太もも、腰に弾が直撃する
「は、ひるんで動けねぇのか?」
ジンがスノードロップの花束を踏みつけにしながら私に近づいてくる
『ひるむ?私が?笑えるね』
「何言ってんだ?」
こつん、と、ジンがさっきまで手にしていた銃をジンの頭に突き付ける
私はもうすでにジンの背後にいた
『ねえ、なんで明美を殺したの?』
「そりゃ、邪魔だったからだよ」
『お父さんとお母さんは?』
「いらなくなった」
『そう、あなたはいつも私の大切な人を奪ってく、だけど同じ目にあわせようともあなたには大切な人がいない、哀れだね』
「八ッ、今ここでくたばってくお前よりはましだろ、行くぞウォッカ」
「あ、兄貴?いいんですかい?とどめを刺さなくても」
「ああ、どのみち死ぬ運命だ、こいつはな」
そんな言葉を残して、真っ黒な二人は去ってゆく、それを見た私はその場に崩れ落ちた
私がもう歩けないこと、ばれてたわ
『ハぁ、はぁ、、、』
震える手でヘッドホンに触れる、そこには小さな扉があり、小さいものが入るほどの空洞があった
そこからカプセルを取り出し、手に広る
志保にもらったアポトキシン4869だ、
『死ぬなら最後、家族のつくった毒薬で』
お母さん、お父さん、志保、凛音が作ったこの毒で、最後を迎えよう
毒薬を思い切って飲みこみ、壁にもたれかかる
『ヴ、ヴガッ、、げほっげほ』
体が、焼けるように熱い、苦しい
―あなたは本当はどうしたい?
またあの声が聞こえた
―あなたの本心は?
零君と、いたい
様々な記憶が走馬灯のようによみがえった
ああ、でも
零君だらけだ
わたしって、こんなに零君が好きだったんだ、
まだ一緒にいたかったな、
何なら結婚とかしたかったなぁ
子供と作って
夢を見よう、幸せな
いつの間にか指から抜けてて、しかもさっきより大きく感じる指輪を握りしめながら
私は一人そっと瞼を閉じた
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作者名:リンネ x他2人 | 作成日時:2023年6月24日 10時