全ての始まり 陸 ページ8
「ようこそいらっしゃいました。藤守ご夫妻と…Aさん、ですね？」
建物に入ってすぐ、眼鏡をかけた男の人が近づいてくる。磨きあげられた床と眼鏡に光が反射してその表情は確認できないが、声はとても硬質だった。
「お話があると伺ったので参りましたの！その、私の娘は…？」
「まあそう焦らず！部屋を用意させていただいています。どうぞこちらへ。」
男の人は迷路みたいな建物の中をスイスイ進み、少し奥まったところにある部屋の扉を開けた。
「ご自由にお座り下さい。少々お待ちいただきますが、担当の人間を読んでまいります。」
部屋を見渡すと机の上には茶菓子が置いてあり、部屋の隅にはコーヒーメーカーもあった。
「座りごごちの良いソファね」
「省庁だからね。金があるんだろう。」
早速菓子を摘むお父さんを見ても、それに習うつもりにはなれない。飲み物だって喉を通る気がしなかった。
それほど経ってないはずなのにもう何時間も待っている気がして参ってきた時、ようやく扉を叩く音がした。
「お待たせしました。私が今回の話をさせて頂くものです。…こちらは秘書のようなものだと思ってください。」
男の人より後に部屋に入ってきてぺこりと頭を下げたその人は、測定の日に見た銀髪の女性だった。見知った人(親がいるのに！)の姿に少し気が抜ける。
「ええーっと。早速話に入らせていただきます。まずこちらの資料をお読みください。」
渡された資料は難しかったけど、要約するとこんな感じになると思う。
・テロリストが現れて、争うことになったこと。
・霊力量と、何より適正がないと戦うことも出来ないこと。
・適正が出ている人間は全国探しても現在100人すら居ないこと。
・…私に、適正が出たこと。
よく分からない。分かりたくもないけど、多分、戦争するってことだ。国の中でのことは内紛って言うんだっけ？とかいう現実逃避も役に立たない。頭が真っ白になって行く。
なんで、私、まだ、中学に入ったばかりで…！
ヒュッと音を立てて息が零れ、女性がこちらに目を向けた。1番遠いところにいたのにこんな小さな音が聞こえたんだろうか？
「すいません。子供に聞かせる話ではないので隣室に移動していますね。」
「あ、りがとう、ございます」
彼女は優しく手を差し伸べて私を立たせ、扉へと導く。
絆されそうになるけど、いけない。ここの人だということは、私の敵なのだ。
息を詰めた私を見て彼女が仕方なさそうに笑った気がした。
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トイプードル - わー！コメント嬉しいですありがとうございます！これからも更新続けていきますので暖かく見守ってください！ (2019年4月2日 7時) (
レス) id: 3116b53546 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きが楽しみです！これは、みかつるの予感がありそうで嬉しいです！続きが楽しみです！更新、頑張ってください！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トイプードル | 作成日時：2019年3月25日 12時
