刃生と感情 玖 ページ42
そんな話をしていると、辺りに機械音が響く。
『時間遡行プログラム、システムオールグリーン。第一ゲート起動します。』
もう慣れきった光り輝く巨大なゲート。このゲートは全てのゲートのマザーデータに相当する一番大きなものだ。
「ではいくか」
「はい！」
…そんな流れがあって今に至る。
一瞬の浮遊感と自分が溶けるような不思議な心地。
目を開けると、そこはビルどころかコンクリート製のものすらどこにもない正真正銘昔の時代。
私の練度なら単騎で制圧できる程度の敵しか現れない、それほど重要度の高くない地点だったはずだ。
その分数が多かったはずなんだけど…
「妙だな。あれほどあった反応がひとつも見つからない。」
三日月の言う通り、政府で見たパネルは敵の反応で真っ赤に染まっていたのにここには反応がひとつもない。いくら私たちが偵察に秀でてなくてもこれは異常だ。
「これはおかしいです。皆さん忙しそうだったのはこの件だったのですね」
「しばらく辺りを見回ってみるか…」
敵性反応が出た地点を二手に別れて1周してみたけど、何も見当たらない。まさかの収穫ゼロに肩を落としていると三日月から連絡が入った。
『本部から連絡。座標を移動するぞ』
次の瞬間、手元に持っていた簡易移動装置が発動する。
いきなり！？
降り立った場所は先の場所より少し過去。ココこそ重要視されていない…というか初めて来た座標なような？
「鶴丸！こっちだ。」
私を呼び寄せる三日月。
せめて文句を言おうと口を開いたその時、近くの茂みにしゃがむよう頭を勢いよく押さえられる。
顔を上げると、見慣れた歴史遡行軍が似た姿のナニカに破壊されていた。しかしよく似ているのは姿だけでその力量差は歴然。あっという間に遡行軍は塵に帰った。
「内部分裂？それにしては…」
「世界会議で一度話題に出たことがあるかもしれぬ。」
厳しい顔をした三日月を見上げる。
「あれは紛うことなき第三勢力。歴史の異物を排除するために動く歴史保全機能の一環だと思われるが…」
「それではこちらと手を結ぶことは出来ないのでしょうか？」
仕方ない、というように首を振られてしまう。
そんなに甘くはないか…
「あれにとっては歴史を遡る我らも変わらぬ異物。意思があるのかも定かではない」
「遡行軍より強力な敵に阻まれるのは遺憾としがたいですね」
敵をうつのにさらに強力なものを相手にしないといけないなら、効率は大きく下がってしまう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トイプードル - わー！コメント嬉しいですありがとうございます！これからも更新続けていきますので暖かく見守ってください！ (2019年4月2日 7時) (
レス) id: 3116b53546 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きが楽しみです！これは、みかつるの予感がありそうで嬉しいです！続きが楽しみです！更新、頑張ってください！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トイプードル | 作成日時：2019年3月25日 12時
