全ての始まり 参 ページ5
垂れ幕の中は薄暗かった室内に輪をかけて暗かった。
「藤守Aさんですね」
返事をして前を向き直すと、そこには銀髪の女の人が立っていた。スーツを身につけている彼女は瑠璃色の瞳を優しく細めて、床に書いてある大きな星が描かれた輪の上に立つように指示する。
「霊力数値が──適性──はい。──ですね」
「──らしい！──これ─決まり──ええ──する！」
彼女に気を取られて気づかなかったけれど、この部屋には他にも人がいたらしい。隅でスクリーンを見つめて興奮気味に何かを話し合う人が二人。
少し不安になって鋼色の彼女を見ると、にこりと微笑み返された。大人の女性って感じだ。
そんな非日常も教室を出れば終わりだ。明るい蛍光灯の光に目を細めクラスに向かって歩き出す。
「A！終わった？へへ。待ってたんだー！」
子犬のように走りよってくる優希にこちらからも歩み寄る。
「優希さん！少し緊張してしまいました…不思議な心地になる空間でしたね」
「雰囲気作りすぎだよねー。私もビビっちゃった。あ！そういえば、めっちゃ美人いたの見た！？…くぅ〜っあんな大人になりたい！」
「ああ、あの銀髪の…すごく美しい方でした…あの方も陰陽寮の所属なのでしょうか。」
身にまとっていた色彩が明らかに日本人のものでなかったので不思議に思っていたのだ。陰陽寮は日本人以外所属禁止だったような気がするのだけど。
「うーん…あんな美人ならお父さんの話に出てきてもおかしくないと思うんだけど…」
「新入社員の方なのでしょうか？」
「いや、あの人の方が偉いっぽかったよ」
ビシ！と私の目の前に指を突きつけてハッキリ宣言する。
「私の時にホロキーボードがついてなかったみたいで、それに気づいて頭下げてたのが男の人だったもん」
「陰陽寮は徹底的な実力主義と聞きますし…見た目で判断できないのは難しいです」
「霊力量と処理速度は生まれ持った物みたいだしねー。」
お父さんは万年平社員だよ
くふくふ笑う優希を見ると家族仲が良いのが少し羨ましくなる。うちの親はアレだからなあ…
「結果は後日家に送られるという話でしたっけ。まだ中学に入ったばかりですけど、進路にも関わってくるのでしょう？」
「あー、普通は知らないか。確か一定以上の霊力量がある人はスカウトが来ることもあるよ。他にも多少あれば就職にも有利になるかも？あんまり霊力の正しい使い方って知られてないんだよ。」
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トイプードル - わー！コメント嬉しいですありがとうございます！これからも更新続けていきますので暖かく見守ってください！ (2019年4月2日 7時) (
レス) id: 3116b53546 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きが楽しみです！これは、みかつるの予感がありそうで嬉しいです！続きが楽しみです！更新、頑張ってください！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トイプードル | 作成日時：2019年3月25日 12時
