刃生と感情 壱 ページ34
三日月宗近との初対面から数日、私は非番だった宗三に服を選んでくれるよう頼み込んでいた。
「お願いします…まともな洋服が全くないことにこの間気づいてしまって…」
ぺたりと床に張り付く私を胡乱げに見つめ、溜息をつきながらも優しい彼女は了承してくれたようだ。
「ハア…確かに私もその顔で同じ服を着回されるのはデザイナーとして許しがたかったですし…その代わり！今日は着せ替え人形になってもらいますよ」
「？そのくらいなら全然大丈夫で構いませんけど…」
そう返事した瞬間、部屋の襖が思いっきり開く。あまりのことに、後ろを振り返るときに首を痛めた。
「話は！聞かせてもらった！」
「加州！」
やってきたのは同じく女士の加州清光。
彼女もオシャレに気を使う、まさに女の子って感じの子だ。彼女が持っているマニキュアは全て同じ赤に見えるが、一つ一つ全て違うとかなんとか。
「あたしも入れてー！鶴丸さん絶対洋服も似合うと思ってたんだけど、なんで着ないのかなって思っててさ。ちょっと着て欲しいのあるからあたしも連れてって！」
「貴女もオフでしたっけ？」
「さっきオフになったの！三日月さんと交代でね。刀使ってないと錆びそうだって言ってたから」
三日月の名前に少し肩がはねる。
それを見ていたのか、加州がにやにや私の肩をつついてきた。
「ふふん、聞いたよ鶴丸さん〜。三日月さんから逃げ回ってるんだって？本丸も噂でもちきりだよ〜」
「あ、私もそれ気になってました。どうして逃げ回ってるんです？」
後ろ手で襖を閉められ退路を塞がれる。
「…特に理由はないんですけど」
しどろもどろになりながら二人から目線をそらす。自分にもよくわかんないのだ。
最初は鶴丸国永の影響かとも思ったけど、どうやら違うみたいだし。それにしてはフィードバックが大きくて…今までもっとテンションが上がることもあったけどその時はこんなことにならなかったような…
ふと視線を戻すとこれ以上なく顔を緩めた加州の顔。宗三は呆れたように額を抑えていた。
「うわぁー！本丸でこんな話聞けるとは思わなかった！！鶴丸さん鶴丸さん、それってさあ…っあいたっ」
「それは本人が気づかないとダメなやつでしょ」
ペシりと宗三が私ににじり寄って来ていた加州のおしりを叩く。軽くていい音がした。
「えっ原因分かったんですか！？教えてください！」
「なーいしょ！よーし、服選びにも気合が入っちゃうなー！」
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トイプードル - わー！コメント嬉しいですありがとうございます！これからも更新続けていきますので暖かく見守ってください！ (2019年4月2日 7時) (
レス) id: 3116b53546 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きが楽しみです！これは、みかつるの予感がありそうで嬉しいです！続きが楽しみです！更新、頑張ってください！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トイプードル | 作成日時：2019年3月25日 12時
