刃生と出会い 裏 ページ33
「…鶴丸、普段はあんな感じじゃないんだけどなあ？」
そう、本体のある場所を同じくする獅子王にばしばしと背中を叩かれ、せっかくの高級緑茶が零れそうになる。
「こら、やめろ。畳が汚れる。」
思い返すのは真っ白な出で立ちの中、顔を染めて音もなく逃げていった少女のことだ。
父(三条宗近)の弟子の五条兼永の息子、五条国永のうった真白の太刀。
国を出る前に適性者が現れたと聞いて、縁者の出現に柄にもなく喜んでいたがまだ子供であったため顕現は保留。いつ会えるかと思って楽しみにしていたのだが。
「どうしちゃったんだろうなあ、鶴丸。風邪か？」
考え込んでしまった人の良い刀。
鶴丸国永とは何度か展示が同じ場所で行われた記録があるが、彼女とは全くの初対面。それなのにこちらの名前を当ててきたのは驚いた。おそらく適合率が高いことが理由だろう。
「さっきまで戦場で戦っていたではないか。風邪ではなさそうだ」
「お？見てたのか。そうか、あの技術も形になったんだな」
本拠地から戦場を確認できるように開発部は努力を続けていた。
もちろんただの発明品ではなく、霊力に反応する特殊なもの。「時を遡るのは刀剣のみ」それ以外は全て時空の狭間に飲まれる定めにある。
「それにしても、鶴丸はやけに楽しそうに戦うな」
「あー、それ俺も思った。記録見た限りだと１回友人共々遡行軍に殺されかけてんだよ。トラウマになってて戦場に立てなかったらどうしようかと考えてたんだが…」
「？」
「曰く、「楽しすぎて怖い」とさ」
予想外の回答に目を見開く。
殺されかけたのにそれは凄いな。
聞くと、所属当時からあの部隊にいるらしい。
交戦率の低い部隊は他にいくらでもあるのに、だ。
「それはそれは。将来が楽しみな逸材ではないか」
「もう芽は出てるよ。お前も一度同じとこで戦えば分かる。」
その言葉に肩をすくめる。
「逃げられてしまったからなあ」
「苦手に思われてる感じじゃなかったし、大丈夫じゃね？話しかけて慣れてもらえよ」
小動物のような扱いに笑いが零れてしまった。
そんな可愛いものではないように思えたが。あれは芯の通った折れない刀だ。生半可な覚悟だとこちらが斬られる画が見える。
「そうだな、しばらく日本にも居られる予定だ。また発つことになる前に妹分と仲良くなれると良いが…」
頑張れー
気楽な声援を受けて今度こそ、国に帰ってきた実感が湧いて笑った。
あの雛ともこれくらい親しくなれたら良いのだがなあ
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トイプードル - わー！コメント嬉しいですありがとうございます！これからも更新続けていきますので暖かく見守ってください！ (2019年4月2日 7時) (
レス) id: 3116b53546 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きが楽しみです！これは、みかつるの予感がありそうで嬉しいです！続きが楽しみです！更新、頑張ってください！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トイプードル | 作成日時：2019年3月25日 12時
