全ての始まり〜幸せの崩壊〜 伍 ページ19
「ねえ優希、結婚式には呼んでくださいね。招待状が来なかったら、泣いてしまいますよ？」
「当然でしょ！一番最初に出すって決めてるんだから！」
たたたっと数メートル先まで走って、こちらに振り返って満面の笑みを見せる。背景の沈む夕日と相まって、すごく幻想的な風景だった。
今自分がカメラを持っていないことを惜しむくらいの。
そんな眩しい彼女に目を細め、せめて脳裏に焼き付けようとしたとき…一瞬世界が揺れた。
転けそうになって、慌てて体制を立て直す。…いや、揺れたのは私の世界だけだ。現に優希は衣替えしたばかりの薄い制服を翻して笑っているままだし、木に止まっている鳥が飛び立つなどの異変もない。
気のせいかな。やっぱり最近疲れてるのかもしれない。
優希、ちょっと待ってください。
そう声をかけようと口を開きかけたその時──
ばりばりと優希のすぐ後ろの空間に亀裂が走った。
思わぬ異変に思考が停止し呆然としていると、そこから優希の倍ほどもあるだろう化け物の上半身が姿を現す。
表情の固まった私を訝しく思ったのか優希がこちらに声をかけてきた。
「ねえ、A、どうか──」
その声に反応したように化け物は視点を下げ、死界になって今の今まで見えていなかった巨大な刀を思い切り振り上げる。
その化け物は一切の音を立てていないはずなのに、空を裂く音が聞こえた気がした。
優希はまだ気づいていない！？
「優希ッ！！こっちへ走ってください！！」
こんな声出したことがない、それくらい大声で優希を呼ぶ。片手を思い切り突き出して、優希の手を掴めるように。
私の異常な姿に何かを察したのか全力で走ってきて私の手を掴み、そのまま足を止めずに走り続ける。
「どうしたのA！？何があったの！？急にっ走ってっ」
「っはっ、化け物が、優希の、後ろにっ！」
いきなりの全力疾走にお互い息も絶え絶え、怖くて後ろを振り返ることも出来ない。
「化け物！？なんで突然私たちの所に！？」
「分かりませんっ！優希に大きな刀を振り下ろしているのが見えたので！こちらに敵意を抱いているのは確かみたいですしっ」
そう言いながら、私には頭の隅に引っかかるものがあった。
刀…？
私が戦う敵がどんなものかは知らないけど、刀の付喪神の協力が必要だったことだけは知っている。
まさか…
目には目を、歯には歯を。
そして…刀には刀を！
あいつが狙っているのは優希じゃなくて私だ…！
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トイプードル - わー！コメント嬉しいですありがとうございます！これからも更新続けていきますので暖かく見守ってください！ (2019年4月2日 7時) (
レス) id: 3116b53546 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きが楽しみです！これは、みかつるの予感がありそうで嬉しいです！続きが楽しみです！更新、頑張ってください！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トイプードル | 作成日時：2019年3月25日 12時
