全ての始まり 拾壱 ページ13
やまんばぎり、から真ん中を抜いて山桐、瑠璃は彼女の瞳の色だ。本名(と言っていいのかはわからないが)を知っているこちらからするとわかりやすい偽名。
そんな私の疑問に答えるように小さく囁いた。
(一般人に知られたらいけないでしょ？)
！びっくりしたけど、極力反応に出さないように小さく頷き返す。
そうだ、私は山姥切さん側だから話を聞けただけ。
「山桐さん。彼女もこの計画の？」
「ええ！彼女は最初期メンバーの一人です！娘さんの先輩になりますね」
「娘の！」
あまり良い顔をしていなかったお母さんはその言葉に表情を変えた。
「しかも国家1種にストレートで合格した、スーパーエリートですよ。」
「A。彼女とは仲良くしておきなさい。いいね？」
担当さん(今となってはこの人が本当はどういう職に就いているのか分からない)の言葉にお父さんから囁かれる。彼女の見た目から、私と変わらない10代の少女だと思っているのかもしれない。
大学に通って受験資格を手に入れるのに何年もかかることもきっとお父さんは知らないだろうから。
ちらりと山姥切さんに目線をやると、小さな苦笑いが返ってくる。
彼女にはこの声も聞こえてるんだ。
「まあ、2人も戻ってきましたし、話をまとめましょうか？」
「お願いしますわ、担当さん」
「私の方からもAさんにお話はしておきました。前向きに考えてくれるそうですよ」
私たち一家の前の向かいの席に彼女が座る。私の対面に座ったのはきっと私への気遣いだと思った。
「ありがとう山桐くん。…それでは。まず、藤守Aさんについてですが、16までは親元で育てて頂きたいのですが」
「我が家で、ですか？」
「はい。お話を聞いたところ、御息女が通っている学校は推奨以上の偏差値がありますし、成績も問題ありません。勿論、学費はこちらから援助を出させて頂きますよ。」
「！いえ、願ってもないですが。ただ、理由を伺っても？」
援助と言う言葉に両親の顔が明るくなる。わかりやすいなあ。
「彼女に出た適性の問題ですね。体の為にも成長期が終わった頃の方が良さそうです。」
「あの、私は16になったらどうなるんでしょうか」
家から放り出されて、研究所みたいなとこで暮らさないといけないのかな。映画によく出てくる白衣の人々と培養液で満たされたポットが思い浮かんだ。
「住み込み、という形になりますね。もしもの場合に備えて医師の常駐した寮に入ってもらいます。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 68人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トイプードル - わー！コメント嬉しいですありがとうございます！これからも更新続けていきますので暖かく見守ってください！ (2019年4月2日 7時) (
レス) id: 3116b53546 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きが楽しみです！これは、みかつるの予感がありそうで嬉しいです！続きが楽しみです！更新、頑張ってください！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：トイプードル | 作成日時：2019年3月25日 12時
