全ての始まり 拾 ページ12
深く頷いてもう一度チャームを覗き込む。
既に刀はその場から消え、花弁も白に戻っていた。
「山姥切さん、ありがとうございます。パニックになっていた私に優しくしてくださって」
頭を下げて感謝の言葉を。
私1人だったら、あの部屋にお母さんとお父さんといたら、もうとっくに潰れていたかもしれない。この人は私の恩人だ。
「いいのに…頭を上げて？お礼は受け取るわ。覚えておいて、貴女は1人じゃない。何かあったら頼りなさい、人間1人じゃ生きていけないんだから！」
そう言ってスマホを差し出される。
「L〇NE、交換しましょう？普通のアプリだから機密に関わることは話せないけど、簡単な相談や連絡なら問題ないわ。もしもの時も、通話状態にだけしてくれていたらこちらも対処できるし。」
「な、何から何まで本当に…！」
もうペコペコしすぎて頭が取れてしまいそうだ。この恩はどこかで返さないと…！
空気が和やかになって、2人でぽつりぽつりと会話を進めていると、不意に鈍く機械のバイブ音が聞こえた。
「あら？…向こうの話し合いが終わったみたい。戻らなくちゃね。そうだ、適当に向こうの人の話に合わせるけどここで話したことはひとつも反故にはしないから、安心してね。」
「はい。私の両親はああいう性格なので、その必要性があることはわかっています。それに、山姥切さんは信用できる方だと思うのです。…会って話したのがまだ2回目なのに何を言っているんだとお思いになるかもしれませんけど。」
立ち上がってスカートの裾を整えながらそういうと、彼女はきょとりとしたあとに恥ずかしげに笑う。
そういう顔をしていると、成人女性と言うよりは高校生や大学生くらいの年齢に見えるな。
「…もう、一本取られちゃった…」
「ふふ、やられっぱなしでいる私ではありませんよ？…戻りましょうか」
「失礼します。」
再び、体に力が入っていることを自覚しつつ扉を開ける。後ろから彼女も入ってきて音もなく扉を閉めた。
「！A、彼女の迷惑にはなっていないか？」
「いいえ、お父様。Aさんは聡明なお嬢さんでこちらも楽しく話させていたたきましたわ」
「ところで貴女、お名前を聞いていなかったような気がするのだけど」
振り返って美しい山姥切さんに鼻を伸ばすお父さんと若い山姥切さんに対する嫉妬を隠さないお母さん。
「山桐瑠璃と申します。名乗るのが遅くなり申し訳ございません。」
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トイプードル - わー！コメント嬉しいですありがとうございます！これからも更新続けていきますので暖かく見守ってください！ (2019年4月2日 7時) (
レス) id: 3116b53546 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 - 続きが楽しみです！これは、みかつるの予感がありそうで嬉しいです！続きが楽しみです！更新、頑張ってください！ (2019年4月1日 13時) (レス) id: 625c8539c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トイプードル | 作成日時：2019年3月25日 12時
