35，魚 ページ36
「ゴンベエ君は酷すぎませんか！？」
『黙秘するからですよ』
黒裂は笑っている。そんな様子を見た無敵ヶ原はどうしようかと内心頭を抱える。前回は稲森らをからかって弄んだが今回はその逆、こちらが遊ばれている。だが不思議と嫌な気分ではない
暫く考えたがこいつを潰せという指令はきておらず、何より女性に手を上げるのは紳士としての心が痛む。非常に不本意で苦肉の策だったが
「…もうゴンベエ君でいいです」
と、ついに折れてしまった。知らずの所で彼女は束になっても勝てなかった無敵ヶ原に勝ったのである
彼女もと自己紹介をするが、今の服装が日本代表のジャージであること、韓国戦でフィールドに立ったことでカメラに映ったこともあり「必要ないですよ」と返されてしまった。
そんなこんなで2人の釣りが再開された
「そういえば君、先日のロングシュートよく決まりましたよね」
『あれが私の専売特許ですから』
無敵ヶ原は持参の茶色い折り畳み椅子に座り、その横でちょこんと黒裂が座っている。水面の浮きは風に揺られて動くのみ。くる気配のない魚に、彼らも雑談を始めてしまった
「ネットで″花が咲いた"ってタイトルで特集されてましたよ」
『5分も出ていないのに特集！？』
色んなものが渦巻いていたフィールドに突如現れると、ブロックに成功しシュートも決めた、しかもやってのけたのは女子。″弱そうな奴が実は強かった″というオチが大好きな日本人だ。メディアも喜んで記事を書き、最後には特集なんて物を作ったのだろう。見てないんですか、と尋ねるも彼女はいいえと首を振った。
その時、激しく水面の浮きが動いた。続いて竿の先端の糸もピンと張ると彼は勢いよく立ち上がった。手に振動を伝わらせながらそれに合わせて上にフックさせる、一見荒そうに見えて実は繊細な手つきで糸を操る姿に彼女は見とれていた。
格闘すること3分、姿を現した魚には背から腹にかけて黒と銀のグラデーション、側面に散る鮮やかな朱点
「アマゴだ！」
『サツマキス！』
意見の食い違いに顔を見合わせて笑う。どちらも同じ魚を示しているのだが。彼が口から糸を外すのを見届けて彼女も立ち上がる。走り込みの続行せねばならないと後ろの傾斜を登りながら手を振った
『ばいばいゴンベエ君』
「貴方との時間、なかなかに楽しかったですよ」
その日の夕食
「これ、貴方に出してくれって。アマゴの塩焼きらしいです」
『アマゴ…』
神門から塩焼きを受け取った黒裂であった
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聖羅(プロフ) - おぉ、非リア同盟はキーワードなんですね！注目して読まなければ…笑 (2019年2月18日 17時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
良子(ラッコ)*(プロフ) - 聖羅さん» わざわざパート1の方にコメント頂きありがとうございます！センスなどと大層なお言葉、胸がいっぱいになりそうです！非リア同盟は、わりと本編に関わってくるので是非とも注目して頂きたい。これからもどうかよろしくお願いします！ (2019年2月18日 15時) (レス) id: 333bfe8339 (このIDを非表示/違反報告)
聖羅(プロフ) - シリアスな雰囲気の中にこっそりネタを入れてくるあたりセンスが凄いですね！非リア同盟のくだりは笑いました笑 これからも頑張ってください！ (2019年2月16日 20時) (レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
良子(ラッコ)(プロフ) - ぴぽさん» ありがとうございます！可愛いと言っていただけて嬉しいです！日々精進致しますので、これからもよろしくお願いします (2018年11月29日 7時) (レス) id: efb7d8eaad (このIDを非表示/違反報告)
ぴぽ - イラスト可愛いです！なんかさらに上手くなってませんか!?これからも頑張って下さい！ (2018年11月27日 0時) (レス) id: 8ec037955c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：良子(ラッコ)* x他1人 | 作成日時：2018年10月20日 16時
