君の瞳【灰谷竜胆】

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竜胆「…っ！」
手の中のスマホの振動

画面を見てすぐさま踵を返した
Aからの連絡だった

「会いたいです…」
なんてふざけんな

そんな…そんなの、
そんなこと言われたら会いに行くしかねぇじゃん



デートの後は絶対家に送ってたから
Aの家の場所なんて知ってる

小さめだけど新築で綺麗なアパートだ
外付けの階段を登ってチャイムを鳴らす

中からバタバタ音がして
貴「竜胆さんっ」

竜胆「ばっか！確認してから出てこいよ！」
俺じゃねぇ可能性普通にあるぞ？

襲われたらどうすんだよ
俺が汚さずにいたのに

どこの誰だかわかんねぇ野郎に汚されたら
俺が引いた意味ねぇじゃん

貴「やっぱり竜胆さんは優しいです」
竜胆「……一旦入れ。外でできる話じゃねぇ」

反社とかどうとか
隣人に聞かれたらアウトだ

Aを中に押し込んで自分も部屋に入る
貴「…入ってください」

竜胆「俺は玄関でいい」
貴「何でですか」

竜胆「そんな簡単に男を家にあげるもんじゃねぇよ」
…俺が入れって言ったんだけどさ

貴「そうやって忠告してくれるなら大丈夫です。それに竜胆さんは私のこと好きじゃないですよね」

竜胆「……」
…意外と頭回るんだな…

俺がAを好いてるって
気づいてるけど敢えて言ってるんだ

好きだわ
押し倒してぇけど

それをしたら嘘だって自白するのと同じで
それを狙って来てるのがわかった

竜胆「…わかったよ」
靴を脱いでAの後に続く

Aっぽい、カワイイ系の部屋だった
竜胆「…んで、俺が優しいとか頭おかしいわけ？」

貴「正常です…！」
竜胆「反社が優しいわけねぇじゃん」

自分で言って
また、苦しくなった

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