君の瞳【灰谷竜胆】

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優しい顔でその子に微笑みかけるAが
あまりにも綺麗で

思わず目を逸らした
貴「痛かったね。もう泣かなくていいよ」

そう言って頭を撫でると
女の子の手にクレープを握らせた

「いいの…？」
貴「うん！今度は落とさないようにね」

何度も母親にお礼を言われて
Aはにこにこしているだけだった

貴「じゃーね！気をつけて！」
その子に手を振ると俺のところに戻って来た

竜胆「…ほら、これやるよ」
貴「え？でもこれ竜胆さんの…」

竜胆「Aだって自分のあげただろ」
貴「…ありがとうございます」

そう言って嬉しそうに笑った
ホントは食べたくて仕方ないのに

自分の分あげて、遠慮して
ホントほっとけない

貴「竜胆さんは優しいですね」
竜胆「…そんなん言うのAだけだよ」

貴「こんなに優しいのに？」
…優しくしてんのAにだけだし

部下とか俺と目合わせないように必死だし
別に目合っただけで殺さねぇよ

逆にやらかしてたら目合わせなくても殺すし
竜胆「早く食えよ」

貴「あ、忘れてた…」
そう言って食べ始めると途端に笑顔になる

表情がコロコロ変わって
ホント可愛い

貴「んふふ…美味しい…竜胆さんも食べますか？」
そう言って差し出してくる

…は？
差し出してくる？

竜胆「…美味いならひとりで食えばいいじゃん」
貴「美味しいものは共有したいです！」

一緒に食べませんか？って
…間接キスって知ってるか？

竜胆「……食う」
Aの手を掴んで口に寄せると

食べかけのそれを頬張った
…いや、緊張で味しねぇわ

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