MoeMoe part3

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ビッビーと甲高いクラクションが鳴ると、あっヒカルきたっと離れていってしまった


さっきみたいに引き留めようとした腕は宙を掴むだけだった







コンコンと窓を叩いてから助手席のドアを開ける
たったそれだけなのに、どうしようもなく愛おしく見えた


たった数時間飲んだだけなのに、一目惚れとかいうやつなのか





そうかもしれない








荷物だけ置いてもう一度俺の目の前にきてくれた阿部さんは、また不思議そうな顔をする

何か言いたいのに、何も出てこない






むず痒い気持ちに包まれてる中で先に口を開いたのは阿部さんだった









「電車で帰るんだよね？」









「はい」









「目黒くん？」









「はい、っん！、」









名前を呼ばれて嬉しかった




それに気を取られていたら、ぐわんと体が傾いて、唇にふわふわしたものが触れ、最後にピリッと異物があたった









キスされたっと気づくのに時間はかからなかった

びっくりした






でもそれ以上にびっくりした


べぇっとだした舌に小さく輝く金属
さっき当たった異物はこの舌ピアスだったんだ





真面目な装いに似つかわないそれは街灯に照らされてきらりと光る









「またね」









ひらひら小さく手を振って車に駆け寄る



阿部さんは一度も振り返らずに夜の街に消えていった









"ヒカル"と呼ばれた男の耳にはピアスが沢山ついてた









ｅｎｄ.

悪い男 - 黄→←夜の街 - 黒

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