MoeMoe part3

・ ページ18

「阿部ちゃーん！きてくれてたの？」









突如背中が重くなって少しよろめく、佐久間くんだ









「ありがとありがと、これ書いて！」









卒業文集を押し付けられてまた佐久間くんは別のところに行っていく









なんて人だとぶつぶつ言いながら、これまでのお礼と思い出を書き並べていく




出来たメッセージはさっきのやつと全然違って辰哉くんに余計申し訳なくなる









でも、それはそれで辰哉くんらしいアルバムを作れたかなと思いながら佐久間くんへのメッセージのラストに阿部と名前を書く









「あっ！辰哉くんの名前書いてない！」









あんな中身のないメッセージでも名無しのメッセージじゃ意味がない、忘れないためのメッセージなのに、









「辰哉くん、後でそれもう一回貸してください」









辰哉くんは翔太くんと集合写真や個人写真を見てげらげら笑ってる

翔太くんなんて呼んでるけど本当はちょっと怖いこの人









「ん？なに？どしたの？」









「いや、せっかく書いたやつ名前書き忘れてて」









「そうなの？阿部ちゃんの字なら見ればわかるけど」









そう言って柔く笑う


やっぱりこの人の事は忘れられない







なにか一言、彼に思いを伝えたい


さっきのメッセージの下に阿部と書いて、離れたところに『好きです』といつもより丁寧な字で書く









「ありがとうございます辰哉くん、ありがとうございました」









「ん？もう行くの？ばいばーい」









俺の気持ちなんて知らない先輩に手を振ってクラスを出る









もう先輩に会うことは無い









( ｅｎｄ．)

・→←卒業式 - 紫

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す