＊私立雪坂高校＊‥深澤こころのノート。（紫）

3 ページ3

「ふっか〜、ノート持ってくの手伝って〜」



「あー、俺職員室行く用事あるし、やっとくよ？」



「ぇえ？！まじ？ありがとう〜！必ずお礼するから！」


「いらんいらん、はやく行きな〜」




別に良い人になりたいわけではない。
あんなにめっちゃ急いでます！って感じ出されたら流石に誰でもそう言うと思う。

丁度、日直である俺は日誌を書きながらノートが教卓に置かれていくのを見守っている。






「深澤〜、今日休みでいいってー！」


急に扉付近から聞き馴染みのある声がする。



「そうなの？！」


「なんか、午後から棚修理が入って店も休みみたい」



中学からダンス部で一緒だった佐久間。高校に入ったら部活には入部しなかった。実家が有名な華道の家元で、ゆくゆくは後を継ぐらしい。俺はそんな佐久間んちの花屋でアルバイトをしている。

元々、この雪坂町が大好きで、ずっとこの町で暮らしたいと思っていて。それを何気なく佐久間のお父さんに話したら、大介の力になってくれないか？と言われたのがきっかけで。

花屋って朝早いのがネックだけど、めっちゃ匂いに癒やされるし、最高なんだよな〜。




「おっけー！




で、佐久間はデート？！」


「な、な、なんで？！」


「え、顔にやけてる」



「おま！やめろよー！ニヤけてね〜よー！」


「じゃあな！楽しんで！」



「ありがとう〜！また明日！」


あんだけニヤニヤしてたら誰でもわかるだろ！ってくらいニヤけて蕩けそうな佐久間の顔を見たらちょっと笑える。







文化祭や最後の発表会が終わって、所属していたダンス部を引退した。

たぶんダンス部と芸術部あたりが最後だと思うから、もう今部活しているのは下級生か〜。なんか、そう思ったら、ちらつく卒業の2文字。

野球部の声とかが響いてくるとちょっとエモい？気持ちにさせられる。







あー、部活も終わったし、俺も恋とかしてみたいな〜。

4→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す