58 Your side. ページ10
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6月も2週目になると暑い。
暑いだけじゃなくて、梅雨の季節がすぐそばまで来ているからか、どんよりとした低い雲で空が覆われている。
なんで空気にこんなに水分含んでるん？ってキレそうになる気持ちを抑えていた。
「あっちー‥あっちー！」
『さっくん、やめて、暑いって言ったら暑くなるやん』
頭を振り乱しているさっくんに突っ込みをいれる。
「今やなぎんも二回言った！」
『は』
「ねー、ふたりとも。うるさい、模型倒れる。」
『照、ごめんっ』
照が住宅模型を組み立てていて、目線を落としたままで話を続ける。
「あー、てかやなぎん。甘いもの好き？」
『うん？あ、うん、めっちゃ好きっ』
怒ってるのかと思ったら全然違う話題が飛んでくる。
「じゃあ、新しくできたスイーツ屋さんいかない？男ひとりは入りにくいけど、俺女友だちいないから。」
そこで初めて顔をあげた照は、にっこりと笑顔になる。
目尻が下がって目がなくなる感じ。
何度見ても癒やされる笑顔。
『あ、いーよ。わたしで良ければ』
「「「「えっ？」」」」
『え。何？』
急に作業している他のメンバーがハモる。
「あ、いや、佐久間、舘さん、阿部ちゃん、何？」
動揺している翔太が場を回すようにみんなに問いかけた。
「あー、いやー」
舘さんはまた目線を落とした。
「俺はただ、二人で行くんだー？って」
「ねっ、阿部ちゃん。デートみたいだよね。」
さっくんが阿部ちゃんに言うと頷く一同。
『えっ、デート？！』
あ、それでみんなハモった感じ？！
「スイーツショップに女の子ひとりと大勢のうるさい男とか迷惑だろ。」
『た、たしかに』
「だからお前らは来んなよ。」
そう照が言うと、みんなは無言になり、また作業が始まる。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月23日 20時
