60 ページ12
.
『バスケ部‥。』
「そ。大学でも最初はやってたと思う。
前はよく体育館前で会ってたけど、途中からダンス部とバスケ部すれ違う時にいなくなってた。」
『そっかー』
「なーんか、みんながしたいことをずっと何かしらで制限されてんだろな、って。本人が悪いわけでもないのに。
だから翔太があんな感じでずっとムスッとした感じに見えるのは自分を守るための鎧なんだろうなって思ってたんだけど。
喋ったら良いやつなんだよな〜思ったより気さくで周りも見てる。」
自分を守るための鎧。
照の表現は、本当にしっくりきて、
翔太の気持ちを考えると、なんだか心臓がぎゅっとなった。
『うん、そうやね。』
「ちゃんと友達になれると良いな。
あ、あれっ、今日めっちゃ空いてんじゃん」
店が見えてくると、
すごい行列って聞いていたのに、数組しか並んでいなくて照から歓喜の声が聞こえてきた。
『やったねー！』
案外すぐに席に通される。
どうやら入れ替わりの時間やったみたい。
メニュー表を広げると、
夢の国みたいな鮮やかなスイーツたちが並んでいた。
「うわあ‥！
やなぎんどれにする？俺迷いすぎて決めれないかも‥」
『んー、照好きなの頼んで、私も一緒に食べるし。』
「いいの？！」
『うん、シェアしよっ』
「ありがとうっ！」
本当にスイーツが好きなんやなあ。
めっちゃ可愛い。ギャップ。
漢！って感じかと思っていたのに、
話し方も物腰柔らかくて、
周りを大切にしていて、よく見ている。
それでこの笑顔。
わたしは頼み終わってもメニュー表を見てテンションをあげている照を、ボーッと見ていた。
『うわ‥すごい可愛い‥！』
「写真写真っ」
ガトーショコラはトロッとした生クリームが。
タルトは季節のフルーツが山盛りだし、
チョコレートパフェにはうさぎがいる。
『わたしも！はい、照も入ってるで〜』
「えっ」
インカメを向けて、スイーツと照、自分も入る。
『みんながグループに送れ送れ！って言ってたから、こんなに食べるで！って自慢しちゃお！』
「‥おうっ」
パシャリと撮影すると、少し照れたような顔をした照。
『ありがと、よし、送信っ』
スイーツと撮れて照れてるんかな、漢系乙女男子やな。
「いただきますっ。」
『いただきまーす』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 343人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：rinao | 作成日時：2024年3月23日 20時
