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怖ーい話するわな。
わたしの軽快の足取りは3歩目で終了を迎えた。
一変、恐怖映像ですよ。
ドアを開けたら、
「え‥」
『‥はっ‥!』
ほんまに全く同じ光景が広がっていたから。
固まる体、絡まる視線。渡辺翔太。
一瞬で頭の中をいろんな考えが巡る。
今日、今のタイミングなら謝れるんじゃ?
でも向こうからしたら謝る内容なんかすらわからん。
この間みたいに話しかけることすら迷惑、いや、なんか嫌悪感抱かれるくらいなら、やめとく?
うーん、
ごめんなさい!今は無理!
目があったものの、わたしは店から直角に曲がり、かなり早歩きで直進。
今なら競歩日本代表狙えそうやで。
「あ、オイ!」
呼び止める空耳が聞こえたところでコンビニに入る。
『‥はぁ、はぁ‥』
案外疲れるわ、競歩。日本代表は無理やわ‥。
奥のお菓子コーナーに身を潜め、切らしている息を整える。
とりあえず時間さえずれたらなんとかなる、かな。
そう自分を落ち着かせながらお酒と水、
おつまみはやっぱり珍味かな〜。イカソーメンを購入して、あ!あとチョコレートも。
5分ほどの時間が経過した。
「あざっしたー!」
夜なのに元気いっぱいな店員さんに背中を押されて。
再び自動ドアをくぐる。
『‥よし、』
左、右。おらん。
「‥よし。じゃねーぞ。」
『っへ?!』
斜め下から聞こえる声に、出したことのない声が出る。
「全然巻けてねーから。てか、呼んだら振り向けよ。」
無視すんな、と上目遣いの渡辺翔太。
破壊力やばくない?!
『え、呼んだ?!』
あれ現実?
「呼んだ。」
『な、何でしょう‥?』
「暇?」
『え、今から?いや、えーと』
暇って言ったら何が起こるの、怖すぎるんですけど!
「そ、れ。酒だろ?一人飲み?彼氏は?」
『‥え、彼氏はおらん、家に帰って一人飲み‥』
「そ。なら付き合ってよ。」
『え、?!』
「何、嫌?」
『嫌とかではなくて、』
とかではなくても、意味わからんすぎでは?
「じゃあいいじゃん。」
『じゃあいいのか?』
「ふっ、それ心の声だろ?漏れてるって。」
笑う渡辺翔太。初笑顔、めっちゃ子どもみたいだ。
『ハッ、いや、』
「とりあえず雪坂第二公園。近い?」
『‥あー、まあ。』
「そこ。集合で。」
『え、うん、わかった‥』
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作者名:rinao | 作成日時:2024年3月1日 9時