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Watanabe side.
眼の前にいる眠そうな柳と、さっきの柳が同じ人物には見えないけど。
人のこと上辺だけで見る人じゃないってことは、この間知って。
ずっと、そういう人しか周りにいなかったから俺自身が自意識過剰になっていたことも知って。
「柳、乾いた。」
『‥お、‥ありがとう、また寝そうやったわ、危ない危ない。』
もっと、仲良くなりたいって女子に思ったのは初めてで。
「お前、」
『おいおい、なんか偉そうやな、お前はあかんで。』
「あ、ごめん。」
目を細めて笑う柳と鏡越しに目が合う。
『いやいいけど。どした？』
「こ、今度、その」
『ん？』
「柳んち遊びに行っていい、？」
『えっなんで』
「嫌ならいい、忘れて『いや、嫌とかではなく、何しにくんねん、と。』
たしかに、急に友達？かもわからないやつが家に行きたいとか言ってんの、まじで恐怖しかないだろ、馬鹿か俺は。
「遊びに、だけど。普通に。す、スキンケア用品とか、見たいっていうか、」
いえば言うほどなんか言い訳っぽいし、怪しくもなる。
『あー、遊びに。そういうことね、うん、いいよ、狭いけどっ』
いいんだ！
まじか！
「‥っしゃ」
『よっしゃ、とか言うんや。』
「‥はっ‥」
心の声が出たことに気づく。恥ずかしくて顔の温度がだんだん上がってくるのがわかる。
『じゃあ、土曜日とかにしよ』
「‥おう。」
社交辞令じゃない、ほんとにいいんだ。
本当は嬉しくて踊り出したいくらいだったけど、我慢する。
同時に、心臓をちょっと
摘まれたみたいな痛みにおそわれる。
初めて女友だちができるかもしれない。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
