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『おはようございまーす』
居酒屋シーフードStyleは雪坂町商店街の中でも割と駅に近くて、サラリーマンもだけど、雪大生や、近所の人、オールマイティな盛り上がりを見せている。
やっぱり旬の魚が食べられるって最高。
シーフードStyleと大学のちょうど間ぐらいの場所に自分の住むアパートがあって、どちらも通いやすいから助かる。
「あっ、柳きたーっ?今日忙しいかもっ!」
わたしが来たことに気づき、厨房で仕込みをする店長が声をあげる。
『忙しいほうが時間進むの早いからいいんちゃいます?店長、新商品は‥』
「あ、それね、樹に聞いてー。」
『はーい。』
わたしは制服に着替えて、タイムカードを押すと、ホールにでた。
『おはよー。』
「Aおっつー。今日もビジュ最高じゃん〜。新商品これなっ、」
『ビジュ褒めんの樹だけやからな。うわっ、もううまいやんっ』
真鯛とタコのカルパッチョサラダと、海鮮春巻き。
「おい、ヨダレは拭けよ?」
『ほんま滝みたいにー、ってやめぃ。』
「あっは、切れ味も最高。」
「おはようございますっ」
『めめおはよー』
「おっはー」
遅れて登場しためめこと目黒蓮は雪大2年でうちらの後輩。
樹は同じ3年だけど、学部が違うからほとんどバイトでしか会わない。
めめに関しては、まだ眠たいのかぬぼっとした表情だけど、180センチ超えの長身で、前にたまたま大学内で会った時には声かけるのは遠慮しちゃうくらいに輝いていた。
めめにも新商品の説明をして、一通りよだれのくだりをやったところで、
ふと渡辺翔太のことを思い出す。
『あ。そうだ、渡辺翔太って知ってる?』
「何その何周かしたような話題、知らんわけないでしょ、雪大生なんだからっ。な、めめ。」
「まあ、普通に今更感あるかも。」
『え、そんなに?!』
「目合ったら凍るんだろ?!」
「なんかかっこよすぎて気絶する、みたいな話じゃなかったかな‥」
『えっ』
噂怖ー、ってか、噂にもならん変なの誰が流してんの?
めっちゃ本人迷惑だろうな。
『あ、いらっしゃいませー!』
そうこうしてるうちにオーブンの時間になり、すぐに満席になる店内。店長の言った通り、今日はほんまにめちゃくちゃ忙しかった。
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作者名:rinao | 作成日時:2024年3月1日 9時