雪坂町物語＊雪坂大学雪貞ゼミへようこそ!!（青） (ページ37)

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ゆっくり静かに部屋に入っていくと、足元に足はない。

お‥

『包まってる‥』

キングサイズのベッドの端っこに小さくなって寝る翔太。

ベッドサイドにしゃがんで、起こすタイミングを図る。

『‥おーい。渡辺翔太〜』

とりあえず小声で。

「‥」

すーすーと規則正しい寝息が聞こえてくる。

『‥肌キレイやなあ、毛穴ないやん。』

お手入れが丁寧にされた肌。

昨日の記憶で、薄っすら残る化粧水トーク。

‥ほんまに。わたしの化粧水とかいるん？ってくらいにきれいな顔。

綺麗に整ったまつ毛。

鼻筋、キュルンと上がった口角。

‥同じ人間なん？って、言いたい。

寝顔からは想像できないけど、何を抱えてるんやろ。

翔太の荷物、

『‥軽くなりますように‥』

小さく手を合わせて深くお辞儀をする。

「え」

『っわ、しょ、翔太』

拝んでいた顔を上げると、翔太の目はぱっちり開かれていて、びっくり顔でこちらを見ている。

「え、？」

『‥お、起こしに来たっ！みんなが遅いなあって！』

ぜ、絶対に襲おうとしてたと思われてる！やばい！

焦りながらする弁解がより一層怪しさを増加させる。

「そ、そっか、」

『じゃあ！下降りとく！』

逃げるように走り去る。

え、待って、どこまで聞こえてた？！

てかわたし変なこと言ったっけ？！そもそも言動が思い出せない。

『やっば』

危なかった、顔とか触らなくてよかったー！

いや触らないけど！！

そんな変な感じで、合宿2日目がスタートした。