35 Your side. ページ36
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昨日は良く眠れた。
ドライヤーで髪、乾かしてくれた翔太の指の感覚がまだ残っているような気がして、むず痒くなって自分の髪の毛を手ぐしでとかす。
ベッドの端と端、多分翔太は気を使ってくれて、眠れてないかもしれないけど、わたしは人がいることを感じられた事自体久々で、心が温かった。
ひとり、浜辺を散歩してから戻る。
『ただいまー』
「やなぎんおはよー、外行ってたの？」
『舘さん。おはよう。うん、散歩。』
「コーヒー。飲むかい？」
『うん、いただきます。』
コーヒーが入ったマグカップを置いてくれる。
『ありがとう。朝はまだ肌寒いよなあ。』
「ここらへん海近いし、風もあるからね。」
『ふぅ、美味しい‥！すごい、舘さん。』
「ふふっ、ありがとう。」
淹れる人で変わるのか、場所なのか、空気なのか、とにかく美味しいコーヒーを堪能する。
「やなぎん。」
『何？』
「昨日。」
『うん。』
「阿部ちゃんと、なんかあった？」
『え？』
阿部ちゃんがキッチンを出た直後に舘さんと照が入ってきたから、阿部ちゃんと話していたことがわかってるのか、
「いや、違ったらいいんだけど。」
『‥』
なんて返せば正解なのか、
あったと言えばあったし、なかったと言えばなかった。
そう、返答に困っていると、
「‥なんかあったら言ってね。またコーヒー淹れるし。」
『ありがとう。また、話せる時に。』
舘さんは優しく頷く。話しやすい人や。
そう思いつつ、阿部ちゃんは阿部ちゃんで思うところがある、と思ったらなかなか話し方が見つからなかった。
「おっはよー！」
『さっくん、おはよ』
弾むように降りてくるさっくん。
「佐久間は？」
「あっまーいカフェオレ！」
「はいはい。」
『カフェオレ派なんや。』
「うん、んで、甘いのしか無理っ」
「おはよう。」
「阿部ちゃんおっはー！」
『おはよー。』
「コーヒー？俺もいただきたいな。」
「うん。淹れるよ。」
「照とふっかと翔太は？」
阿部ちゃんが質問すると、舘さんが顔をあげる。
「照はジョギング。ふっかは朝風呂。渡辺は‥」
わたしを見るみんな。
『え、わからない、散歩行ってたから。』
「そろそろ起こす？起こしてやってよ。」
『え、わたしが？阿部ちゃん行ったら？』
「さすがに‥、
女の子の部屋には入れないかな。」
『あっ、そうやった‥わ、わかった。』
納得しながら二階に向かう。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
