32 Watanabe side. ページ33
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Watanabe side.
今まで、できる限り人間関係を最小にすることを心がけてきた。
物心ついた頃には
自分の評価は、顔とか運動神経とか
見た目が大半ということには気づいていた。
正直な話、
かっこいい、可愛い、そう言われるのは悪い気はしないし、湧き上がる歓声に気持ちよさすら感じていた。
今となっては鳥肌が立つくらい嫌なことのひとつだけど。
初めて付き合った彼女は、クラスの中で清楚な感じで、誰にでも優しく接することが出来る子。
だと、思っていたのは
かなり大きな間違いだった。
「‥渡辺と付き合ったんでしょ？！」
「すごい！」
「〜ちゃんならいけると思ってた！」
「まあね。あれだけモテてもやっぱ男ってアホだからさ。」
「さすがー！」
「とりあえず渡辺のはじめての女の称号はほしいよね」
「あっははは！」
「明日キスとか迫ってみようかな？」
「じゃあできるに100円！」
「わたしもー！」
最っ悪。
吐き気がした。
中２で女の現実を知った。
どうせ。
みんながほしいのは。
俺と付き合う価値は、
この見た目。
「ねえ、翔太。本当に行くの‥？」
「うん。」
引き止める阿部ちゃんの心配そうな顔、
今でも鮮明に覚えていて、
あのときは自暴自棄というか、どうかしていた。
悪い先輩の誘いで、数回、女遊びをした。
「俺、もうやめた。」
数回でやめたのは、
やっぱりそこでの評価も見た目だったこと。
そして、阿部ちゃんの表情が忘れられなくて辛かったから。
その後、先輩の女に手を出したとかいう嘘くさい噂によって、呼び出されることが増えた。
じゃあもう、わかった。
なるべく人間関係は最小限にする。
特に女子とは関わらない。
彼女もいらないし、もう別になんにもいらない。
大学に入学してからも、相変わらずで。
バイトは厨房で受かったはずなのに、人手が足りない日にたまたまホールで入ったら、売り上げがあがったとかでホールをやることになった。
大学3年からではなかなか新しいバイトが見つからないし‥一人暮らしだと何かと出費も多い。
今更やめれずに、なるべく土日はシフトに入らないことで落ち着いた。
ふとした時、
‥一生、こんな感じで生きなきゃいけないのか？と、
素の俺ってどんなだったっけ？って考えるようになった。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
