31 Your side. ページ32
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みんなで食べる夕ご飯は美味しい。
女子ひとりっていうのはもっと大きな壁になると思っていたけれど、みんなの見えない気遣いがあるからやと思う。
お風呂に向かう廊下に出ると、さっきまでうるさかった声が小さくなって、とたんにさみしさを覚えた。
もう一人暮らしも3年目。
いろんなことがあっても、家に帰れば
自分で電気をつけないと明るくならないし、
自分でやらないと料理も掃除も終わらない。
わたしだけかもしれないけど、まだ心のどこかで少しだけ寂しさを感じている。
『‥こんな短時間で』
このゼミの一員になっている。
シャワーを出し、身体を温めながら考えていた。
‥さっきの阿部ちゃんの言葉。
翔太は、何か辛いことがあって今に至るのは間違いないことで。
阿部ちゃんは隣にいるから見えてしまったり、聞いてしまったり、もしかしたら同じように辛いことがあるのかもしれない。
わたしがゼミに少しずつなっていくように、
翔太にも、そうなってほしいな。
『‥よし。』
‥‥
『めっちゃきれいになってる!ありがとう、みんな。お風呂終わりましたっ。』
おつかれー、とみんなから反応があったところで、各々が自由時間となり、阿部ちゃんは勉強するらしいし、照は筋トレ、ふっかは寝るらしい。
「えー!やなぎんパジャマめちゃ可愛いじゃん!」
『さっくん、わかる?これ。』
「わかるわかる!あの老舗の!」
『そうそうっ!』
この部屋着をさっくんが知ってるとは。嬉しくてつい盛り上がる。
「佐久間、先いく?」
話の切れ間に翔太がさっくんに声をかける。
「あっごめんごめん!先行かしてもらいやーす!」
『ごめん、引き止めちゃった、』
「柳は、乾かしたら?髪。」
『あ、うん、そうする、』
柳って、呼ばれるのなんか新鮮。
あんまり目は合わないけど。
自室に戻り、ドライヤーをカバンから
『あ、えっ、忘れたー‥』
朝使うからって最後にカバンに入れようと思ったのがだめだった。ドライヤーはドレッサーの上だ。
バフッと、ベッドに大の字になる。
タオルドライをキッチリしてるから乾かさなくてもいけるかなー‥。
翔太、貸してくれるかなあ‥。
と、考えながら目を閉じる。
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作者名:rinao | 作成日時:2024年3月1日 9時