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Abe side.
「「『かんぱーい!』」」
19時すぎ、みんなの声がリビングに響き渡り、夕飯という名の宴会がスタートした。
ゼミのメンバーは何人か授業で一緒になったことある人もいて、そこまで気を使わないメンバーで良かった。
翔太にとってはどうかわからないけど。
割と女絡みで、男から恨みを買うことも多かった。気づいたら敵とみなされていることも多くて、呼び出されたりすることもあった。
その回数が多過ぎるから、途中から否定するのすらやめて、外部を遮断して、どんどん強い物言いになった。
「焼きそばー!うっま!」
「やなぎん作だよ。」
佐久間の興奮に、舘さんが教えてくれる。
『いやいや、舘さんが味見してくれたからやで!ありがとうやわっ』
「結局誰が焼きそばリクエストしたん?」
「あ、俺かも。お祭りの焼きそば好きなんだよね、みたいなこと言ったかも。」
ふっかがはいはいー!と手を上げて焼きそばを頬張る。
『それやーん!言ってたの聞いた、サブリミナルや
わ!』
「明日は?明日は何する?ご飯っ!」
「明日はお肉だね。」
関西弁には申し訳ないけど、我が強いイメージがあって。
でも、やなぎんは人の話をよく聞いて、周りにアシストすることが多くて、関西弁も心地良い。
「あ、あとお風呂入ってないのって誰?」
『あ、はい。』
「はーいっ、佐久間さんまだでーす。」
両手を上げる佐久間。
「あんだけ時間あって何してたの?」
気になったので聞いてみる。
「アニメ見て寝落ち?朝早くて昨日の見逃しちゃって。」
『運転してくれたもん、休んでいいと思うっ。』
「俺もまだ。」
翔太が会話に加わる。それすら、なんかこのゼミに対しての気持ちを感じる。
そもそもこの合宿すら、去年の翔太なら来ていないと思うのに。
先日、センターに寄ってから行った研究室。
前を歩く男女がまさかの翔太とやなぎんで。
翔太が?!と、ちょっと心の中でパニックになった。
こんな短時間でどうやって翔太を手懐けたのか?
「じゃあ、やなぎん以外で片付けして、その間にやなぎん入って。いい?」
「良いと思うっ」
『え、片付けするけど、』
「作ったんだから、いいの!」
『じゃあ、お言葉に甘えて‥ありがとう。』
「うむ!」
裏表がなさそうで。明朗快活。
翔太に向き合ってくれそう。
翔太はやなぎんをどう思って見てる?
俺はちらりと横目で翔太を見る。
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作者名:rinao | 作成日時:2024年3月1日 9時