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「あー、渡辺翔太。翔太って呼ばれてる、」
この世の感じ悪いを集結させてんの？ってくらい感じ悪くて逆に笑える。
でもなーんか虚勢張ってるみたいな、無理してるみたいな感じもなくもない。
そう思ってたら目があって、また舌打ちされる。
は？やっぱ感じ悪いわ。
今どきこんなやつおんねんなー、まあ、なんか色々我慢してそうだし、しゃあないか。
「あ、先生っ！」
ふっかの言葉に振り返ると、雪貞先生が立っていた。
絵に書いたような教授はいなくて。
割と普通な感じで安心した。
おハルの話では5年くらいゼミ生を取っていなかったらしく、久々だから先輩もいない。らしい。
「雪貞ゼミにようこそ〜。
このゼミでは家政学。つまり家を中心に物や人にアプローチをしてもらう。
自分と家や家族、住居のつながりを存分に研究しよう。だから研究室も家と同じ作りになっている。自分ちのように寛いで良し。
ゼミは大学の家族。よろしく頼む。」
「ゼミは家族‥。」
岩本照の小さな声が響く。
え、
ゼミは大学の家族。
わたしは周りを見渡す。
ふっか。
岩本くん。
あべちゃん。
佐久間くん。
宮舘くん。
そして、渡辺翔太。
ちょっ、と待って‥この家族はやっていけそうにないかも。
わたしの小さな心配をよそに一回目のゼミは終了し課題が手渡された。
「このあと暇な人いるー？」
みんな口々に予定を呟く。
『あ、わたしバイト。』
「じゃあ全員じゃん。じゃあまた改めて親睦会だなっ。」
いろんな取りまとめはふっかがやってくれそう。
ありがたやー。
じゃあねー、と。
また3日後に会う仲間にひとまず別れを告げた。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
