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その後、作業スペースで集合して、作業にとりかかる。
「やなぎん、この間取りの、」
『あ、出来てるよ。』
ゆっきーの研究に使用する模型を担当するさっくんとわたし。
図面を阿部ちゃんとふっか。今日は舘さん、照、翔太が卒論に向けて自分の研究を行う。
こんな感じで3日間ローテーションをする。
作業室の外で模型の色つけ。
「やなぎんってさあ、」
『うん』
「‥渡辺のこと、どう思う？」
手をとめ、こちらを見たさっくんが言う。
『どう、とは？』
「イメージというか、なんというか、俺らが大学入ってから見た姿と違いすぎて。」
『あぁ、たしかに。』
「女子からは人気だけど、良くない噂もあるじゃん。」
‥良くない噂。
彼女を横取りされた人の話。
特定の彼女は作らず、彼女候補をとっかえひっかえしている話などなど。
数多くの良くない噂、とされるものが数多く存在していた。
『あるね、噂。』
「‥渡辺もさ。
もし違っても弁解して歩くとかいちいち出来ないじゃん。こういうのって諦めちゃうじゃん、途中で。」
『そう、なんかな。』
「うん。俺も元々はダンス部で。」
『うん。』
「高２で辞めたんだけど。アクロバットが得意だったから割と重要なポジションやることが多かったんだけど。
先輩がよく思ってなくてさ。ダンス部でのあることないことから、女子関係のことまでいろんな噂が急に流れて。」
『えっ』
「最初は否定してたけど、
噂が勝っちゃう日が来るの。
現実になっちゃうの、噂。」
『嘘なのに‥？』
「そう。まるでそのエピソードがあったかのように。前から俺がそんな人だったかのように。
で、否定したりするのが面倒になって。もういいや、って。」
『‥つらい。』
「部活やめて、スクールに通って。
だからさ。渡辺って、どうなんだろ？って。今まで何回か声かけたいなって思ったんだけど。」
あの威嚇じゃ無理じゃん？と、模型にスプレーをかけながら笑うさっくん。
自分の経験が辛かったから、翔太のことを気にしてたんだ‥
「渡辺にはさ、ゼミでは素に戻ってゆっきーが言う家族みたいになれたら、って本当に思うんだよね。」
『そうやな、そう思う。
さっくん、ありがとう。』
「え、ありがとう？」
『うん。仲間ができて心強い。RPGみたいっ。』
「あっはは！RPG？！いーね、たくさん仲間増やしたいな。」
渡辺を救う物語だ！とさっくんは優しい笑顔で笑った。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
