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みんなとバイバイをして逆方向を向けば、
夜の商店街はすっかり夕方の賑やかな雰囲気がなくなっていて。
駅の方に行けばこの時間でもまだ賑やかなんだろうけど、商店街の外れの方に向かう私たちは音から遠ざかっていく。
まだLEDに変わっていない古い街灯が、ジージー言ってる音が一番でかい音となっていた。
隣を歩く翔太も特に喋る気配もなく。
かと言って、わたしも特に話題がなく。
てか、さっき。
わたしのこと柳って呼んでた。
何気に初めて呼ばれたことを考えていた。
「なあ。‥彼氏、どんくらいいないの、」
唐突な質問。
『急やな。
うーん、1年の時かな、最後。』
「ふーん。」
『あの、毎回やけど、興味ないなら聞かないでよ、』
「え」
『え？だって、毎回ふーん、って終わるやん。』
「あ、ぁぁ、」
『何？』
「‥めっちゃ興味あるから聞いてるけど。」
『あんの？！あんな毎回流しといて？！』
「しゃあないだろ！ないんだよ！そういうの！」
ちょっとキレ気味？いや、照れ隠し？みたいに声をデカくする翔太。
『え？！どういうの？！』
「えーと、その、あの」
『‥え、？』
まさか、と、翔太を2度見する。
「悪いかよ。女の子と、二人で帰ったり、そういうのないんだよ！わかんねーんだよ、たからっ。何話したら良いかとかっ。」
『‥へ、まじか、』
「‥。」
ということは、
『付き合ったことは‥あ、る？』
「あるわっ」
それはあるんかい？
『ちょ、意味わからん、そういう会話って付き合ってたら普通あるんちゃうの‥？』
「だから、その‥こ、この話終わり！」
『え、勝手に終わんないでよ、気になるし！』
「えっ、気になる？」
な、なんだ、今度は嬉しそう‥？
『なるよ、普通なるやろ。』
「ふーんっ。」
『？』
いつもと違う“ふーん”のトーン。
「なあ、おれんち、ここ。」
急に立ち止まった翔太から発された、びっくりする一言。
私のアパートの隣の隣に翔太が住んていることがわかった。
『近っ！ここ？！
でもこないだ、分かれたよね？』
確か、あの時は逆方向に歩いたはずで。
「ついて来たってなったら怖がらせるかもじゃん。」
そっか。
そうなんや。
『‥そっか。ありがとう。』
お礼を言うと、優しく微笑んだ翔太。
なんか、こう、
もどかしいような、イーってなる痒いような気持ち。
何なんやろ。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
