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隣に座る翔太の視線に気づき、そちらへ顔を向けると翔太が目線をあからさまに反らした。
『あれ、翔太飲んでる？』
「‥飲んでるっ。」
『な、何。』
「別に。」
『酔ってない？大丈夫？』
それか、怒ってる？
「酔ってる、かもしんない。」
『それは酔ってるな。』
酔ってるだけか。
「帰り。」
『うん』
「‥送ってくれてもいいけど。」
他のメンバーに聞こえないくらいの小さな声やった。
艶っぽくて
やわらかい声。
半開きみたいな目、と言ったら色気がないけれど、
とろんとしたタレ目が、控えめにいってもヤバかった。
えと。ほんまに翔太から、発せられた声やんな？
わたしは今、見えるはずのないフェロモンが見えるようになったのか、
『え、‥わたし、送る側、？』
ドキドキした胸を押さえて、声を絞り出した。
「ふはっ、確かにっ。」
満面の笑みをわたしに向けた翔太。
『翔太、』
そんな可愛い笑顔も出来るんだ。
「やなぎんっ！やなぎん！」
『は、はい！』
ふっかのバカでかい声で我に返る。
「聞いてた？！」
『いや、全く！ごめん！』
「だから〜帰りどっち方向？って。」
そろそろ時間だから出るけど、一人じゃないよね？と聞いてくれる。
『あー、えーと「柳は俺が送るわ。」
家近所だし。と、急に翔太が被せてくる。
え、
あれ？
さっきまで酔っぱらってなかった‥？
「あ、そう？なら安心。」
「みんな駅方面かな、って話してたんだよね。」
阿部ちゃんに舘さんは不思議に思ってなさそうで。
あれ？
夢？
「えー佐久間さんもやなぎんと帰りたいー」
「いや、佐久間は実家だろ。」
「え？実家なん？」
「そー！ひとり暮らししたーいっ！」
「佐久間がひとり暮らししたら宴会しよなっ」
「みんなでアニメ見る会しよー！」
最後までみんなでわいわいして、
解散する時間を迎えた。。
「柳。送ろうか？」
ひとりでしょ？と、
お会計をした出口でめめが声をかけてくれる。
『あ、いやあ、大丈夫やで。ありがとっ！』
「おーい、柳、行こっ。」
『じゃ、また！
翔太待ってーっ』
「‥ありがとうございました〜。」
めめが何か言いかけた気がしたけど、すぐに、店員としての挨拶をされた。
めめと樹の心配はありがたいけど、貴重な時間を奪っては悪いから、お世話にならんように気をつけな。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
