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「あ、やなぎんおはよー！
え、渡辺？！」
ドアを開けて一歩目。
全員が驚いたようにこちらを見ていて。
手を上げたさっくんも、手が行き場をなくすくらいには驚いていた。
『おはよー』
「‥っす」
私たちが一緒に現れたからやんな。
まあそれは正しい反応やわ。
この間のゼミまでの翔太は絶対に女子と現れることなどないはずだ。
「え、なになに？！仲良くなったん？！」
さっくんが嬉しそうに声をあげると、後ろからも声が聞こえた。
「翔太ごめんー、あれ？やなぎん、仲良くなったの？」
今日、そんな帽子被ってたっけ？と、阿部ちゃんが入ってくるなり言う。
「あ、これは」
『なんか学食で、渡辺翔太！って騒ぎになったから匿ってあげたの。わたしのやで帽子。』
もういいね？と、翔太の頭に手を伸ばして帽子をとろうとする。
「ちょ」
私より背の高い翔太が首をひょいとやって交わす。
『へ？』
なぜか返却を拒む。
「あ、いや」
『何？』
「洗って返そうかな、と‥。」
『なんで？！』
たかだか30分くらい貸した帽子。わざわざ？
『あ！翔太の匂い？！
大丈夫、それを餌に商売とかしないって！もちろん転売もしないっ。』
「さらっとめちゃくちゃ怖いこと言うね？」
やりとりを見ていたふっかがすごい顔をする。
「やなぎんはやらなそうだな。」
『うん、まあまあ興味ないけど。』
照、わかってくれているみたい。
「そうじゃなくて！スプレーとかつけてたから！」
『そっちかー』
「普通そっちだろ、お前怖いわっ！」
『へんっ、想像力豊かって言ってや。』
「あれ渡辺ってそんな感じなん？」
さっくんのびっくり顔。
「めっちゃやなぎんと仲良くない？」
舘さんも。
『いや、みんなほんま同じ質問やん』
「そりゃ渡辺翔太だから。」
照も。
「俺、そんな、イメージ‥？」
「まあーなあ、女は、目で、コロス！？！みたいな」
ふっかがシャウトしながら言う。
『あっははは！当たってるやん！』
わたし犠牲者だし！
「当たってねーから！色々あんだよっ」
「それが素なん？めっちゃいーじゃん。」
照がにっこり笑って翔太に言った。
「えっ、」
だんだんと顔が赤くなってくる翔太に、ほっこりした空気になる。
「佐久間も渡辺と仲良くしたいっ。」
「そうだね、ゼミは家族らしいし。」
舘さんが微笑むからこちらまで笑顔になる、
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
