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『‥雪貞研究室。』
北館3階の端っこにある扉には教授の名前が書かれていて、
端の部屋だからか、廊下には山積みになった段ボールや書類みたいなものが積まれている。
『倉庫感‥。』
「入らないの？」
『うわっ、びっくり‥』
真横に気配なく現れた人を見上げる。
短髪の、いかにも運動やってます。って感じのスウェットに足元はスポーティなスニーカー。結構な威圧感。
「ごめんごめん、驚かすつもりはなかったんだけど。」
『いや、ごめん、おばけみたいな反応して、』
「おばけはひどいわっ、中入る？雪貞ゼミだよね？」
『う、うん。』
ドアを開ける。
「『失礼します‥』」
「みんなも雪貞ゼミの人？座っといてーだって！」
奥の方から聞こえる誰かの声に促されて、ダイニング椅子に座る。
いやあ、思ったより‥
「実家に帰ってきたみたいな‥」
『ほんまに、リアル実家やん。』
本当の家のようにリビング、ダイニング、キッチンがある。
先ほど一緒に入ってきた人とは意見が合うようで、なんかちょっとホッとする。
「関西の人なの？俺、話すの初めてかもしんない！」
『あっうん、そうそう。』
わたしに話しかけると、ピンクの頭が揺れる。めっちゃ可愛い小動物みたいだ。
「全員で7人だから、これで、あと2人か。」
揃ったら先生が呼べって言ってたんだよなー。と、奥から出てきた小綺麗な感じの人。
「あ、ふっかじゃん。」
「え、照もなんだっ。」
ふたりは知り合いか。
「てか！岩本照だよな？ダンス部の！」
入ってきた時に思ってたんだよなー！話しかけるタイミング待ってた！と言うピンク頭。
「え。そうだけど‥誰？」
「俺、佐久間大介〜「え？！あの佐久間？！」
「あの佐久間？！か、どうかはわからないけど会ったことあるよね？高校の時とかー他にも〜」
うーん？と、考えながら斜めを見上げるピンク佐久間。
「あれじゃない？中学の時も。」
隣りにいたもの静かな感じの人が喋りだす。
「舘さんー、それだ！じゃあめっちゃ接点あんじゃん！」
「そうだな、世間って狭いかも、」
私の眼の前で繰り広げられる会話から推測するに、
この4人はなんかしらの遠い知り合いにあたるみたいで。
全員が知らない状態よりは、マシなんだろうな。だって、岩本照氏の顔がさっきより怖くないもん。
「ごめんごめん、そこの美少女、名前教えてよっ。」
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作者名：rinao | 作成日時：2024年3月1日 9時
