雪坂町物語＊雪坂大学雪貞ゼミへようこそ!!（青） (ページ1)

今日:8 hit、昨日:39 hit、合計:37,179 hit

1 Your side. ページ1

.

雪坂町の商店街を抜けて、

雪坂高校に登る山道を登らずにその裏手へ行くと、雪坂大学がある。

雪坂大学は、県外からの進学者も多く、今、注目される大学のひとつになった。

その大学に入学した2年前、地元関西から離れて、ひとり暮らしを始めた。

何人か友達は出来たし、バイト先も良い仲間に恵まれた、と思う、

『えっっ、』

「何度見？！もう現実受け入れなっ、A。」

通算8度見のボードに貼り出されたゼミのメンバー表。

『だって雪貞ゼミ‥』

選択希望のシートに雪貞ゼミを選んだ記憶がないのに、わたしはなぜ雪貞ゼミなん？そりゃ何度も見るやろ？

「Aのことだから普通に書き間違いはあるって。」

『えー！なんでそんなん言うん！おハルと一緒が良かった、わたしのラスト2年‥。』

おハルこと、春野千夏(はるのちか)が大学で最初に出来た友達で、自分の予定では同じゼミに入って、残り2年も楽しく過ごす予定で‥。

「まあ、昼とか、会お。」

『おハル‥。』

「ちょっと退いて、見えない。」

『あ、すみませんっ』

ボード前に来た誰かとカバンが接触してしまい、謝る。

チラッと顔をあげると

あ、この人‥。

「何」

『あ、なんか見たことあるけど誰だっけって。』

「は？」

『わ、すみませんっ』

めっちゃ切れるやん。こわっ

「翔太。辞めな。すみません、こいつ人見知りで。」

人見知りの域は超えてるやろ。飼いならされた感じで隣にいた人が連れて行く。

『誰やっけ‥』

「渡辺翔太じゃない？雪坂大学名物。」

『ご当地キャラみたいな？』

「めっちゃ人気らしい、SNSで隠し撮りとかされてたし。」

『へー』

だから見たことあるのか。人気者って大変やな、

知らんけど、

「通称、氷の王子。女子に冷たいから。」

『え、センス！』

つけたやつ！悪意ないか、それ。

「まあ、あんまり会うこともないだろうから貴重でしたね。」

『そっかー。貴重な体験あざっしたー。』

「あっははは、良かった。Aが元気になった。」

『もう、しゃあない‥なんとかやってくわ。』

「そろそろ移動しよっかー。」

『はあーい。』

大学生活を折り返し、残り2年間。

各々研究したいことに合わせて入るゼミが生活のベースになる。そこで得た知識や研究が今後の自分を大きく左右する。

じゃあね。と、おハルと分かれ、雪貞ゼミに向かう。

これは、雪貞ゼミの仲間たちと過ごす

2年間の物語である。