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「こんばんは。夜遅くにすみません。うちの佐久間がお世話になりました。阿部と申します。」
『いえいえ、こちらこそわざわざありがとうございます。姫野Aです。』
深々と下げられた頭に、こちらも深くお辞儀をするけど。
丁寧な言葉の中にどこか冷たい印象を受ける。笑ってるけど、目が笑ってないような気もする。
「まあまあ！阿部ちゃん、座って座って」
さっくんはあんまり気になっていないのか、我が家のように阿部さんを案内する。
「いただきます、すみません。僕まで。」
ダイニングテーブルに座るさっくんの向かいにカレーを用意して、ふたりを向かい合わせにして、自分はカウンターキッチン側に戻る。
『こちらこそ人に食べてもらうような料理でもなくて…』
「阿部ちゃん！…な？」
「…え、うま…！」
ずっと重苦しかった雰囲気に少しだけ柔らかさが混じる。
「美味しいですっ…！」
『ありがとうございますっ、嬉しいですっ』
阿部さんはその後、時よりさっくんに話しかけられて返事をするくらいで、ほぼ無言でカレーを平らげた。
わたしはあんまり居心地が良くなかったので、乾燥機が終わったか確認をしに席を立つ。
『あの〜、乾燥機。仕上がってるみたいです。』
「え、みたいです？」
阿部さんが疑問形で返してくる。
『自分の持ち物触られたら嫌な人もいるので、申し訳ないですけど自分でやってもらっていいですか‥？』
「おっけー！ありがとう！
な？阿部ちゃんっ」
『？』
いってきまーす！と、さっくんが立ち去る。
しばらくの間、沈黙が流れる。
でも、何故か目があっていて、どうしたらよいかわからない。特段阿部さんとする会話が見当たらない。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
