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『そうなんですね〜、カレー食べます？』
「いいの？！食べる！」
『じゃああっち座ってください〜』
カウンターの反対側にあるダイニングテーブルを指した。
「はーいっ」
盛り付けが終わるとお皿を持って席につく。
『「いただきまーす」』
「なにこれ！うめーな！」
『ありがとうございますっ！』
「隠し味入れてる？！」
『いやいや、ケチャップと砂糖で煮込んでからルーを入れてるだけですっ』
「なんかすごいコクあるわっ！」
『それはケチャップと砂糖に感謝ですね〜』
「俺のさ」
何歳かまるで見当がつかないな。
もぐもぐ食べるその姿は完全に少年だし。
『え？』
「俺のことあんまり聞かないね、あの日も明らかに変だったし。さっきもサラッと流してくれたし。
今も、4人がけの席なのにずらして斜めに座ってる。」
『あー、
あんまり人に言いたくない感じなのかなって。』
「え、」
『てか、言いたくなさそうなこと聞かないですよ。普通に』
「そっか。ふふっ、姫野さん面白いねっ」
『言われたことないですっ、あ、そうだ！』
「何？」
『これ、今度あったらお返ししようと…』
ピアスが入った箱を取り出す。
「え、なんで？」
『えーと、』
「あ、趣味じゃなかった？」
『いや！そうじゃなくて』
なんて言ったらいいのかな。
「あ、そっか！彼氏さん！」
『しばらくいません』
「そうなのっ、モテそうなのに。」
『モテませんよ』
「じゃあ、なんで？」
『き』
「き？」
『金額知ってしまって…！』
「あー！金額の“き”！」
『このブランド知らなくて、同期が調べてくれて、そしたら…ゼロ１個多いな！！って。』
「あっはは！たしかに！」
アクセサリーって高いよね、って佐久間さん。
『だから、そんな高価なものは…。祝ってもらって嬉しかったです。29歳、良いスタートきれました！だからお気持ちだけ。』
スーッと佐久間さんの方へ箱を動かす。
「うーん、じゃあこうしようっ。
今日から俺ら友達な？俺は、さっくんって呼ばれてるから。Aちゃんって呼ぶ！」
『へ』
「だから、友達の印に。」
『え？！』
スーッと私の方へ戻る箱。
「お揃いだから、ね？」
ピンクの髪の毛を耳にかけると、リングの形をしたピアスに小さくついたクローバー。
耳にかけてピアスを見せる仕草。流し目が色っぽくて、また心臓が高鳴る。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
