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『ぇえ、荷物‥』
うちと同じ間取りである、
20畳のリビングダイニングには
まったく開かれていない段ボールが山積みになっている。
ソファーには服が重なって置かれていて、横に一つだけ空いている段ボールがある。
ガランとしていて、半分のスペースにはなんにもない。
続いて目をやった扉の向こうの寝室には、ベッドには枕もないし、布団もない。
毛布が一枚置いてあるだけだった。
え‥ちょっと待って、どういう状況？
まるで、人が住んでいないみたいな。
ひんやりした室内。
うーん。
なんというか、ここにひとり、さっくんを置いていっていいのだろうか？
もしも、体調が悪かったとしたら、起きた時にこの部屋で一人だったら‥辛くなるんじゃないだろうか？
『‥さっくん。もうちょっと移動するよ？』
「‥」
あとで何か問題があったらちゃんと各方面に謝罪するよ。
今、こんな軽くて、辛そうなさっくんを放っておくのは、出来ない。
‥友達だから。
もう一度、周りを気にしながら玄関を出て、自分の家に入る。
間接照明だけをつけて、寝室まで進む。
『うーん。‥どうしようかな…』
とりあえずさっくんを寝かせる。
靴下はこちらで脱がさせてもらう。
いや、さすがに。
『さっくん。自分で脱げるかな？』
「ん。」
ムクッと起き上がったさっくんは、着ていたニットとズボンを脱ぎ、再び布団に潜り込んだ。
『おー‥』
それを見届けたわたしは、一応服を畳んでサイドテーブルに置く。
水は、いるかな。
ミネラルウォーターも。
『ゆっくり寝てね。』
何があったかわからない友人。
でもあの部屋を見れば、何か事情があるに違いない。
もう、わたしは色んなことを見過ごしたくない。
さっくんが辛いなら助けたい、そうあらためて思う。
明日、さっくんが休みかどうかわからないから、早く起きて備えておこうか。
わたしもさっさとシャワーを浴びて、ソファに横になった。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
