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「そうかー。ちょっと嫉妬しちゃうね、その友達に。」
『え？！』
「っていうのは冗談だけど。
Aの口から過去の話を聞くことなんてなかったからさ。
Aにとって、その人は価値観を変えるくらいの、大切な人なんだな、って。」
大切。
『そうなのかなあ』
「わからんのかーいっ」
ふっかのツッコミもびしっと入るけど、フル無視の麗ちゃんは話を進める。
「それはさ、これからじっくり確かめていったら？
結果、関係が変わろうと、気持ちが変わろうと。」
『関係、気持ち…か』
「AはAの気持ちを大切にしていいってこと。な？麗ちゃん。」
ふっかが麗ちゃんを見ると、
急にユラユラする麗ちゃん。
「第一ね！
そんな天秤用意するような男はこっちから願い下げよ！天秤から降りな？ってわたしが言ってやるわ〜！」
『ありゃ』
「スイッチ‥今日はオフか。」
また、麗ちゃんの悪酔いスイッチが一瞬入って。
バタリと伏せて寝てしまった。
『ふっか。ありがとう。』
「えー？なんのことー？」
『阿部さんの。』
「あー。忘れてたっ。」
嘘、多分忘れてないよね。
さっくんのことはまだ伏せたかったし、阿部さんが話してくれたことやなんかも、プライバシーがあるから言いたくなかった。
『今日も麗ちゃん良いかな？あ、もう寝てるし。』
「Aが前に進みだしたから余程嬉しかったんだな。」
『まだ1ミリくらいだよ？』
「いやいや、俺には大きな一歩に見えた。
自分に影響を与えてくれた人にはさ、困ってたら一番力になってあげてよ。」
『え？』
「佐久間さん。なんか変だったよね。」
『あ、見てた？』
「うん。やっぱりああいう仕事って大変じゃん。それに阿部さんが言ってたことも。無理してるし、溜め込んでる。」
『うん』
「解決は出来なくても、寄り添うことは出来るし、そういう人がいるってわかるだけで楽になることもあるから。」
俺にとって、麗ちゃんがそうだし。と。
『ふっかも、ファイト。』
「えー俺頑張れっかなー」
『まだまだいけるよ〜』
「よっしゃ、お互い頑張るか！」
『うんっ』
寝ている麗ちゃんの上でハイタッチをする。
このふたりと同期で良かったなあ。
お会計をして、いつも通りタクシーに麗ちゃんとふっかを乗せて見送る。
さて、コンビニに寄って、帰ろうか。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
