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「あ、佐久間くん。」
後ろを振り返ると、この間見たさっくんとは全然違う、似ても似つかない表情のさっくんがいた。
「めめが探してた。早く行ってあげて〜？」
あれ？普通か。
なんか一瞬変な感じしたけど、気のせいか。
『さ、佐久間さん、よろしくお願いしますっ』
「よろしくお願いしますっ」
にこりとしたけど、アイドルの笑顔だ。ふにゃっと笑うさっくんとは違う。
本当に、アイドルなんだ。
あの笑顔を向けられると、自分とは違う世界の人だと言われているような感じがして。まあ、実際そうなんだけど。
9 佐久間大介さん
検索結果→ピンク ピンクヘア アニオタ アクロバット
ピンクといってもものすごい種類がある中で、どんなピンクなんだろう‥と、さっくんに出会う前には一番頭を悩ませていた。
女性下着で言えば、ピンクには清純なものもあるし、妖艶なものもある。全体のバランスを見て、悩んだ結果、セクシーな方にさっくんをいれたのだった。
「もうちょっと、はだけられますかー？」
カメラマンさんがノリノリで。
「はい、いけますっ」
「いやー！いい身体！脱げます？」
「あ、はーい」
着ていたバスローブは徐々に剥がされていって、
憂いを含んだ瞳がカメラを捉えている。
バサッ
透き通るように白い肌。
バスローブが床に落ちると、
綺麗に割れた腹筋が露わになった。
『‥』
「え、A顔真っ赤、大丈夫？」
『え？！あ、あぁ、大丈夫大丈夫っ、なんかあっついな！』
「そう？風邪ひいたんじゃない？」
『そうかも』
これ以上は見ちゃだめ。
頭ではわかっているけど、
カメラ越しに目があっているようで
離せなくなる。
「ありがとうございましたーっ」
撮影とはまったく違うニコニコした表情で挨拶をしているさっくん。
わたしとすれ違う前に立ち止まる。
「お疲れ様でしたっ」
『お疲れ様です』
「もう今日は終わりなんですか？」
『はい、佐久間さんで終了です。長時間ありがとうございました。』
「いえいえ、こちらこそ。」
「A〜！袋ー！」
『はいー！では、ありがとうございますっ』
頭をペコリと下げ、遠くで叫ぶふっかのもとへ向かおうとする。
『え』
急にガシッと掴まれた腕。
「あ、」
『えっ、と』
なかなか離さないので、ちょっと焦る。
「あっ、すみません！」
背を向けたさっくんの顔は見えなかった。
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作者名：rinao | 作成日時：2024年1月19日 5時
